優しい鼓動
(33)









 触れた唇の先から伝わる和磨の体温。

 先に飲んだハーブティーで温まった雫の唇には少し冷たく
 感じられたが、その仕草は優しく温かかった。

 角度を変え、何度も重なる唇。
 たったそれだけなのに雫の息が上がって行く。

 酸素を求め薄く開いた唇に、すかさず和磨の舌が入り込
 む。

「ふっ・・・・・」

 零れる吐息。
 知らぬ間に縋るように、和磨の胸元を掴んでいた。

 慣れないキスに、思わず意思とは関係なく逃げてしまう
 舌。
 和磨は逃がさないように絡め、そして舌で上顎を擽る。
 目眩がするような甘いキス。
 
 自分が求められていると思わずにはいられない、熱いキ
 ス。
 
「ん・・・っ」

 飲み込みきれない唾液が唇の端から零れる。
 和磨は一旦唇を離し、それを舐め取る。
 そしてまたキスが繰り返される。

 息が上がる。
 酸素不足なのか頭が霞んでくる。
 それにしては、何だかおかしい。

 体に熱が篭もって来た。
 初めて感じる熱に雫は戸惑いを覚えた。

「は・・・・ぁ・・・・」

 自分の口から、聞いた事もない甘い声が漏れていた。
 なぜこんな声が零れるのか。
 だがその声は止まらない。
 体に篭もる熱が段々大きくなって行く。

「あ・・・・・やぁ・・・・」

 拒む声も甘く、自分の体がおかしくなってしまったのだろ
 うかと、朦朧とする頭の片隅でそんな事を感じた。

「拒むな」

「・・・ぁ・・・」

 耳元で囁かれる。
 いつにない和磨の低い声。
 どこか熱く、そして艶がある。
 背中がゾクリとなる。

「でも・・・・、体がおかしいんです・・・・」

 朦朧とする頭で、自分の体の変化を訴えた。
 こんな体、自分の体ではないと思ったのだ。
 そんな言葉を聞き、和磨が雫の耳を舐める。

「あっ」

 同じ痺れを体に感じ、自然と声が漏れていた。

「それでいい、それが当たり前だ」

「・・・・でも」

 戸惑いを口にする。
 すると艶のあった口調が有無を言わさないものへと変わ
 った。

「拒絶する事は許さない。 言葉も態度もだ。 全てを受け
入れろ。 今も、この先も俺の事だけ考えていればいい」

 否定されていた今までの雫の心を支配する言葉。
 逆らえないと思った。

 軽く耳の下を吸われる。
 
「ああっ・・・」

 甘く痺れる感覚に雫の体が少し跳ね上がる。
 もう体を支える事が出来ない。
 座ったソファーに体を沈める。

 同時に和磨が上から覆い被さり、潤んだ雫の瞳を覗き込
 む。
 その瞳は野生の獣のように鋭い。
 雫はその先にある獲物は自分だという事に気付く。

 怖いと思った。
 しかし、和磨は全身で雫を求めている。
 ならば自分はそれを受け入れようと決めた。

 和磨の頬に向け手を差し伸べる。
 震える手が頬に触れ、和磨の目が眇められた。
 次の瞬間、雫の体が浮き上がる。
 気付いた時にはベッドに組み敷かれていた。
 両手をベッドに縫いつけられる。

「そうだ、俺だけを求めろ」

 先程とは全く違う荒々しさで、唇を奪われた。
 
「ん・・・・んんっ・・・・・・」

 その激しさに翻弄される。
 和磨の重みが心地よかった。
 意識が朦朧としてきた時、急にその重みが消えた。

 知らぬ間に閉じていた瞼を開けると、和磨が上半身を
 露わにしていた。
 
 逞しい体。
 割れた腹筋が日々の鍛錬を匂わせる。
 
「綺麗・・・・・」

 そんな言葉が雫の口から零れた。
 雫を見下ろし、そして覆い被さる。
 かけられた重みが心地よかった。



「あ・・・・あ、あぁっ・・・・」

 明るい室内に零れる雫の甘い声。
 いつの間にか脱がされていた服。
 正常な思考であれば貧相な体を隠そうとしただろう。
 でも今の雫には無理だった。
 和磨の手が、唇、舌が雫の肌を這う。

 そして今、唇は雫の胸の先端を吸い上げている。
 もう片方の手では空いた先端を摘み捏ねていた。
 強く吸い上げられ、舌で転がされる度に雫の体がビクリ
 と跳ね上がる。

「ん・・・・・んっ・・・、あっ」

 体が燃えるように熱い。
 初めて触れてくる他人の手に雫は翻弄されていた。
 今までの生活ではなかった熱に、どうする事も出来なか
 った。
 雫の瞳からはポロポロと涙が零れていた。

「まだ泣くのは早い」

 涙混じりの声に気付いた和磨が一旦口を離し、そう囁く。
 
「・・・ん・・・・、でも・・・・・あっ」

 胸の先端を指で弾かれる。
 涙で潤んだ瞳、全身が朱に染まり快感を表している。
 真っ白な体を作り替えて行く。
 一つ一つの愛撫に雫が反応する。
 それが和磨の雄を刺激しているという事を雫は分かって
 いなかった。

 空いた手が下へと滑り落ちていく。
 そして最も熱を感じていた場所を包まれた。

 立ち上がった中心。
 溢れた蜜が和磨の手を濡らした。

「ああっ!」

 雫の手がシーツを強く掴む。
 シーツに大きな皺がよる。

 和磨は握った手を上下に動かす。
 その度に零れた蜜がグチュグチュと卑猥な音を出す。
 耳を塞ぎたくなる音だが、腰に一気に熱が溜まりそうする
 事が出来ない。

「あっ、あっ・・・、も・・・・放し・・・・て・・・・」

 性に未熟な雫の限界は早かった。

「いけ」

 耳元で囁かれた瞬間、雫の意識が光りに包まれた。
 大きく体が反らされ、雫は達した。





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