強い気持ち

(7)

30000をGetしたりんりん様より

「本当の気持ち」メンバーオール出演で綾瀬と間違われ、誘拐される若菜。二
人とも仲良く誘拐され・・・・貴章の会社に(または貴章に)恨みを持つ者犯行。





 遠くの方で、優しい声が聞こえて来た。 
 大好きな貴章の声。
 その声はどこか辛そうでだった。
 何がそんなに辛いんだろうか。
 
大丈夫だよ・・・・貴章さん、僕が側にいるから、そんなに辛
い声を出さないで・・・・・・
待ってて、今行くから・・・・・・

 手を伸ばし、微笑んだ。
 
「若菜・・・・・・・・」

 側で貴章の声が。
 目を開けると、会いたかった貴章の顔が。
 大きくて、温かい手が優しく自分の頬を撫でていた。
 その手にそっと、若菜は手を重ねた。

「すまなかった・・・・久我山の事で若菜を巻き込むとは・・・」

「大丈夫、僕は平気だよ・・・・」

 安心させる様に笑い、手に頬をすり寄せる。
 だが直ぐ別の事を思い出す。

「そうだ! 綾瀬、綾瀬は!?」

 綾瀬の姿を探そうと、貴章の腕の中で身動ぐ。
 その瞬間、全身に痛みが。

「あうっ!」

「無理をするな、大きな傷はないが全身打ってる」

 痛むであろう場所を、労る様に優しく撫でる。
 
「俺は大丈夫だ・・・若菜。 本当にゴメンな俺にもっと力が
あれば・・・・・・」

 若菜は気付かなかったがすぐ横に居た綾瀬。
 動けない若菜の為、見える所まで回り込み謝罪した。
 何処にも傷のない綾瀬を見て、ホッとなる。
 
「良かった・・・・・綾瀬の綺麗な顔に傷がなくって・・・・・」

 若菜の方が綺麗だろう、と綾瀬は思う。
 顔も心も全てが美しい。
 傷付いている、自分の事より、人の事を思いやる若菜に
 綾瀬の心は強く打たれる。
 そういった若菜だから、綾瀬は惹かれ友人になったのだ。
 勿論それだけではないが。

「すまなかった、若菜君・・・」
「大丈夫か、若菜ちゃん」

「綾瀬のお父さん・・・・悠二さん・・・・」

 二人の顔は青ざめていた。
 正式な入社はまだ先だが、悠二は既に貴章の元で仕事
 を始めていたのだ。
 今日も貴章と行動を共にしていた。
 そこに、正道も悠二も居て、今回のこの事を知ったのだ。
 
「僕は本当に大丈夫ですから、気にしないでください。 そ
れより、綾瀬が無事で良かったですね。 そうだ、あの人達
は?」

 傷だらけで、痛々しい顔でニッコリ笑う若菜に胸が突かれ
 る。

「あの二人の事はこちらで処分する」
 
 若菜に見えない様に、血まみれの二人が運び出される。
 聞いた事の無い、冷たい声に視線を向ける若菜。

「・・・・巨人さん?」

 畳の上で寝かせられ、貴章に抱きかかえられている若
 菜から見れば、その男はとても大きく感じられた。

「・・・・・・・・・」

 呆けた言葉にその場の空気が凍り付く。
 また違った方向から、今度は大きな笑い声。

「・・・・・・ひぃ・・・っ・・・ひぃっ・・・・。 腹痛て〜〜〜」

 見ると、若菜達をこの言屋敷まで連れてきた人物。
 障子から飛び出した若菜を受け止めたのも、この男で
 あった。

何者だ・・・・・・

 綾瀬は警戒する。
 そんな綾瀬の様子に気付いた男はニヤリと笑う。

「そんなに毛を逆立てて、威嚇しなさんな。 綺麗な顔が台
無しだぜ」

「澤部」

 和磨の横に控えていた同じく年若い、綺麗な顔立ちの人
 物に咎められた。
 一方咎められた澤部と呼ばれた男は、全く気にせず飄々
 としている。

「ご挨拶が遅れました。 私はこちら神崎和磨様の秘書で
漆原友之と申します。 この失礼な男は澤部好哉と申しま
す」

「お前の方が失礼だぞ」

 漆原の言葉に澤部がふて腐れた様に言う。
 そんな澤部を和磨が視線で黙らせる。
 肩を竦め黙る。

「この度は、私共の身内が大変ご迷惑をお掛け致しました。
以前から、この古舘兄弟は不穏な動きがあり、更に久我山
にも恨みを持っていたようで。 それを監視させる為に澤部
を潜り込ませていたのですが役に立たず・・・」

 非難する様な視線で、漆原が澤部を見る。

「何だよ、急に決まったんだから仕方ないだろ。 それに俺
一人じゃ無理がある。 目を盗んで連絡したし、庭石に叩き
つけられる前に受け止めただろうが」

 漆原はその声を無視。
 
「久我山・・・・・お前にそんな顔が出来るとはな・・・・」

 若菜を優しく抱きしめる貴章を見て、今まで黙っていた、神
 崎が口を開く。
 
「・・・・・・・・・・・」

 若菜を抱き上げ、神崎に視線を送る。

「・・・・・先に言った事だが、邪魔はするな」

「好きにすればいい。 その位では潰れん」

「お前も変わったな・・・・・」

 若菜には良く分からない会話。
 神崎をじっと見つめる。
 そして、ニッコリ笑う。

「大切な人と、仲良くして下さいね」

 神崎の瞳に少し驚きの色が。
 瞳が少し和らいだ。





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