強い気持ち

(5)

30000をGetしたりんりん様より

「本当の気持ち」メンバーオール出演で綾瀬と間違われ、誘拐される若菜。二
人とも仲良く誘拐され・・・・貴章の会社に(または貴章に)恨みを持つ者犯行。





 余計な事をし立場を悪くしてはいけないと思い、大人しく
 していた若菜だったが、綾瀬の顔に男 の手が掛かった
 瞬間、考えるよりも身体が先に反応し、男を突き飛ばして
 しまった。

 誘拐した上、自分達を人質に貴章達を脅そうとしている。
 そんな卑怯な男達が、若菜にとってとても大切な友人の
 綾瀬に触れる事が許せなかった。
 力がある訳でもない。
 喧嘩が強い訳でもない。
 無謀だと思われても、綾瀬を守りたかった。
 それに、さっき綾瀬は「もうすぐ迎えが来る」と言っていた。
 だからその、ほんの少しの間だけでも全力を尽くそうと思
 った。

 突き飛ばされるまで、若菜の存在に気付いていなかった
 男。
 いくら気が付いていなかったとはいえ、自分より背も低く、
 痩せた若菜に突き飛ばされ、倒れた事がかなり屈辱だ
 ったのだろう。
 顔を真っ赤にし怒鳴った。

「てめえ! よくもやりやがったな!」

 男は立ち上がり、若菜に向かって来た。
 綾瀬が咄嗟に庇おうとしたが、若菜が綾瀬の邪魔をした。
 
「くっ・・・・・」
 
 顔を殴られそうになったのを咄嗟に手を出してカバーし
 た。
 が、かなり強い衝撃。
 若菜がヨロケた所を男が胸ぐらを掴み、思い切り投げた。
 身体の軽い若菜は飛ばされ、その身体は背中から部屋の
 柱に叩き付けられた。

「・・・・・・・・・っ」

 息が一瞬止まってしまう程の衝撃。
 目の前が暗くなる。

「若菜!」

 蹲る若菜に綾瀬が駆け寄ろうとしたが、スーツ姿の男に
 阻まれる。

「どけ!」

 怒鳴り男に蹴りを入れる。
 しかし、男の方も馴れたもので、綾瀬の蹴りは易々と交
 わされてしまった。

「いい蹴りだ。 武道をやっているのか。 だがその位では
俺には勝てない」

 綾瀬も空手2段の腕前を持っていて、普通の場合なら簡
 単に勝負はついた。
 しかし、この男の言うとおり力も場数も劣っている。
 綾瀬の方が分が悪い。
 だがそんな事は言っていられない。
 視線の先にいる若菜はグッタリとしている。

「チッ・・・・」

「お前さえ大人しくしていれば、連れに手は出さないでやっ
てもいいが・・・・」

 ニヤリと嫌な顔で笑う。
 
 強い衝撃を背中に受けたせいで、息苦しく目の前もぼや
 けている。
 悔しかった。
 綾瀬を助けるつもりが足手まといになってしまっている。
 
「綾瀬・・・僕は・・・・・大丈夫・・・・・・・」

「お前うるさい!」

 弟が憎々しげに言い若菜に近づく。

「若菜に触るな!」

 目の前にいる、スーツの男のせいで若菜に近づく事が出
 来ない。
 
どうしたらいいんだ・・・・・

 綾瀬は心の中で葛藤する。
 若菜は自分を守ろうとしてこんな目に合ってしまった。
 いくら目の前にいる男が強いからといって、このまま若菜
 を放って置く訳にはいかない。
 兄貴章の大切な恋人でもあるが、綾瀬にとってもかけが
 えのない大切な親友なのだから。
 覚悟を決め男に向かう。

 繰り出した拳はアッサリと止められ、蹴りも交わされてしま
 う。
 その次の攻撃も予測され男に当たらない。
 しかし綾瀬は攻撃の手を止めなかった。

 ぼんやりとしか見えない若菜の目。
 綾瀬が男に向かって行っている事だけは分かる。
 
このままじゃ、綾瀬が・・・・・

 ぼやけている目をこらし、柱に手を付きなんとか立ち上が
 る。
 そしてヨロけながらも綾瀬に向かって歩き始めた。

「若菜動くな!」

 気が付いた綾瀬は咄嗟に叫んだが。

「ウザイんだよ!」

 先に気が付いた若い男が、若菜に近づき腕を掴み、今度
 は柱と反対の方に若菜を投げ飛ばす。
 先程より強い力。
 弱っている若菜はアッサリと飛ばされ、障子を突き破る。
 
「若菜―――――!」

 綾瀬の声が響き渡った。





Back  Top  Next









SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送