強い気持ち

(2)

30000をGetしたりんりん様より

「本当の気持ち」メンバーオール出演で綾瀬と間違われ、誘拐される若菜。二
人とも仲良く誘拐され・・・・貴章の会社に(または貴章に)恨みを持つ者犯行。





 反射的に、うっかり返事をしてしまった。

どうしよう・・・・・
今更違いますって言えないし
それに綾瀬の家から出て来てるし、年齢・身長も同じだから
間違えられても仕方ないか〜

 これを聞いたら誰もが「ふざけるな!」と突っ込みを入れる
 だろう。
 今の若菜の姿は、ダサイ眼鏡を掛けていて、どこをどう見て
 も、綾瀬には見えない。
 後ろ姿ならまあ似ていない事もない。
 鳥の巣頭は見なかった事にして。
 眼鏡を掛けていなければ、また違う。

「我々と一緒に来て頂きたい」 

 別な方向から声が。
 振り向くと数人の男が。
 皆スーツを着ていたが、年齢はバラバラ。
 ただ雰囲気は同じ物。
 とても友好的なものではない。
 呑気な若菜にも緊張が走る。

「写真と違う」

 その内の一人、比較的若い男が若菜を見て言う。
 
「年、背格好は似ているが、全く違う。 久我山綾瀬はもっと
美人顔だ。 こんなダサくて、ブサイクじゃない」

ガ〜ン・・・・・

 確かにあの整った、綺麗な顔の綾瀬に比べてみれば自分
 の顔は綺麗ではないと思うが、なにもハッキリそこまで「ブ
 サイク」とか言わなくてもいいのではないかと、悲しくなる。
 落ち込んでいると「若菜!」と言う声が。
 振り向くと、門から飛び出してきた綾瀬の姿が。

「あっ・・・・・」

 マズイ状況だ。
 この男達は綾瀬に用があるらしい。
 それは決して友好的なものではない。
 大切な、大好きな綾瀬を危ない目に合わせる事など出来
 ない。

僕がなんとかしなくちゃ!
綾瀬を助けられるのは僕しかいないんだから!

 若菜は一人で燃えていた。
 そして近くにいた、若菜の事を『ブサイク』呼ばわりした男
 の腕を掴んで急かす。

「まあ、細かい事は気にしなくていいですから。 さあ急ぎま
しょう」

 この言葉に若菜に腕を捕まれていた男は勿論、他の男達
 も呆気にとられた。
 別人にも拘わらず、どう見ても友好的でなく、怪しい自分達
 に進んで「急ごう」と言うのだから。
 
「え? お前違う奴だろ、いいのか?」

 彼等も思わず聞いてしまった。
 その位突拍子のない行動に、驚いてしまったのだ。

「気にしないで。 早く!」

 若菜に怒鳴られ、再度急かされてしまう。
 その勢いに男達も「じゃあ」と、移動をし始めた。

「待てっ! 若菜!!」

 最初より大きな声で呼ばれる。
 当然、男達の意識もそちらに向けられる。

 若菜はため息を吐いた。
 折角自分が皆の意識を綾瀬からそらしていたのに、それ
 が無駄になってしまった。
 人違いなら、車に乗った後にでも適当な事を言って、途中
 で逃げようと思っていたのに。

 今、自分が腕を掴んでいる若い男は綾瀬の顔が認識出
 来るのだ。
 離れていて、しかも暗闇だから綾瀬の顔は判断出来なか
 ったのに、こんなに近くに来てしまえば、顔もハッキリと分
 かってしまう。
 そして、案の定「久我山綾瀬・・・・」
 若い男にはばれてしまった。

「綾瀬の馬鹿・・・・・」

 そう呟いてしまう若菜の気持ちは、分からなくもなかった。
 
「待て、若菜をどうするつもりだ!」

 突拍子もない若菜の言動と行動、そして迫力の押されてい
 た男達も別な整った顔の若い男の登場と、仲間の一人が
 呟いた「久我山綾瀬」という言葉に反応した。
 最年長の男が前に出てくる。

「あなたが本物の久我山綾瀬さんですか・・・・・。 危なくお友
達に騙されるところでした」

おいおい、俺はちゃんと別人だと言ったぞ
あんたが勝手に騙されただけだろうが・・・・・

 若菜に腕を捕まれた若い男が、心の中で突っ込んだ。

「俺に何の用だ」

 綾瀬が男達を見回す。 
 整った容姿に冷めた口調。
 その態度は高校生とは思えないくらい迫力があり堂々とし
 ていた。
 話しかけた男はすっかり綾瀬に負けていた。

おいおい、高校生に負けてどうすんだ・・・・・

 代わりに、若い男が綾瀬に向かう。

「簡潔に言うと人質って事だな」

 『人質』という言葉に若菜の方が反応する。
 
「駄目です、そんな悪い事。 もっと友好的な態度で話し合い
ましょう!」

 自分が掴んでいた男を思い切り揺さぶり、必死に言う。

「・・・・・・・若菜・・・」

 綾瀬がこめかみを押さえた。
 




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