強い気持ち

(1)

30000をGetしたりんりん様より

「本当の気持ち」メンバーオール出演で綾瀬と間違われ、誘拐される若菜。二
人とも仲良く誘拐され・・・・貴章の会社に(または貴章に)恨みを持つ者犯行。





「じゃあ、また明日ね」

 手を振り綾瀬の家を出る若菜。
 春休み初日、短い休みをどう過ごそうかという話しをしていた
 のだ。
 また旅行に行こうという事になり、何処にしようかと色々と話し
 込んでいた。
 結局決まらずに、明日旅行会社に行きパンフレットを貰おうと
 いう事で話しがついた。

 今日はこの後、貴章のマンションへ行き、そのまま泊まる予
 定。
 待ち合わせまで時間はまだあるのだが、綾瀬の恋人の悠二
 が来る事になっている。
 二人の時間の邪魔はしてはいけないと思い、少し早いが、家
 を出る事に。
 綾瀬は「悠二が来ても放っておく」と言ってくれたが、自分が逆
 の立場なら、やはり恋人との時間は大切にしたい。
 口では悠二の事を邪険に言っていても、一緒にいる時の綾瀬
 は幸せそうなのだ。
 それに、これから悠二自身が忙しくなる。
 仕事を始めたら、会う時間も少なくなるのだから。


 悠二はこの春、大学を卒業した。
 就職先は意外にも、久我山グループ。
 大手アパレルメーカーharuの跡継ぎとして、学生の頃から経
 営や企画などに携わっていた筈。
 それがどうして、久我山なのか。
 綾瀬に聞いてみると

「悠二は優しすぎるんだ。 経営者は時には厳しい決断を下さな
くてはいけない。 その時如何に非情になれるかで、会社の存
続が拘わってるんだ。 今の悠二には無理だからって、将来の
事を考えて楠瀬の親父さんが兄さんの下で暫くの間学んで来い
って言ったらしい」

「ふ〜ん、そうなんだ。 悠二さんのお父さんが言うんだから、凄
く厳しい人と一緒に仕事するんだね」

「・・・・・・・・・」

 なぜそうなるのか。
 自分は確か「貴章の下に付く」といった筈。
 それがどうして貴章以外の人物が出て来るのだ?

「若菜・・・・今、俺の話聞いてたよな」

「勿論。 目を開けて返事をする、そんな変な寝方しないよ」

 キョトンとした顔で綾瀬を見る。
 もしやと思い聞いてみた。

「若菜、悠二は直接兄さんの下に付くんだ」

「え、そうなの? 貴章さんと一緒なら、きっと今以上優しくて強
い社長さんになるよね」

だめだ・・・・・

 貴章は若菜の前では別人の様だから仕方ないのかも。
 綾瀬知っている兄は、いつも冷たい表情で、会社の有益に
 ならない物、人はあっさり切り捨てる。
 そして、自分に対し害をなそうという輩は徹底的に潰すのだ。
 それは今も昔も変わらない。
 しかし例外が一つだけ。

 それが、この若菜。
 貴章の最愛の人物。
 若菜を見つめる目、態度は限りない愛情が溢れている。
 どんなに忙しくても、若菜に連絡を入れお互いの愛情を確認し
 会う。
 その方法は、貴章が若菜に渡した携帯電話。
 お互いの顔が写り、話す事が出来る。
 そして、その電話にはGPS機能が付き、直ぐさま居場所が特
 定出来る。
 ただのGPSではない。
 何らかの事態が起こり電源が切られても、その機能だけは止
 まる事なく動き続ける優れ物。

 当然貴章のパソコンで、それが把握出来る様になっている。
 そして自分同様、若菜の生活を逐一報告させている様だ。
 勿論綾瀬自身も、その携帯を持っている。
 これは、自分を溺愛する父から強引に押しつけられた物。
 綾瀬の行動は父のパソコンで見る事が出来るらしい。
 こういった所は親子で似ている。

「まあ、いいか・・・・・」
 
「え、何がいいの?」

「なんでもない。 それよりどうせこの後会うなら、迎えに来て
貰えばいいだろう。 時間も遅いんだし」

 時計を見ると、時間は8時。
 
「全然遅くないよ。 それに貴章さんのマンションとこの家別方向
でしょ。 毎日仕事が忙しくて疲れてるのにそんな事出来ない」

 若菜はそう言うが、貴章が聞いたら「若菜を一人で夜道を歩か
 せる方が心配だ」と言って絶対迎えに来る筈。
 それに今日は貴章の自宅に来ている事は知らせていない。
 若菜の自宅近くまで迎えに来る予定なのだ。
 ちなみに、若菜の自宅は貴章のマンションと、実家の真ん中
 位の位置にある。

「悠二さんに宜しくね」
 
「あ、若菜そこまで送る」

 言う綾瀬を置き、さっさと歩き、門を中から自動で開けて貰う。

「もう、綾瀬ったら心配性だな」

 ブツブツ言いながら歩き始める。
 と、目の前に男が立ち塞がった。

「久我山綾瀬さんですね」

「はい」

 自然と口から出ていた。





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