束縛しないで
(3)

キリ番99999をGetされたなつめ様からのリク
「束縛されて」の続き







 そして放課後。
 あれから椎堂と顔を会わせる事も、特に大きな問題も起こらず一日が終わろう
 としていた。
 この日の放課後、綾瀬達は生徒会だの、葛城の見学だので帰るのが別々にな
 った。
 こんな日は要注意。

 一人階段を下りて行くと、途中階段下から急いで登って来るクラスメイトが。
 珊瑚の顔を見て目が輝く。

「高津君!」

 思わず身構えてしまう。
 
「・・・・なに?」

 普通に聞いただけなのに、彼女達は頬を染めながら、「正門で高津君の事を
 待ってる人がいるの」と告げてきた。
 嫌な予感が。

「・・・誰?」

「あの鳳学園の制服着ていて、頭は坊主なんだけど格好いい人」

 聞いてもいない事まで興奮気味で話し、二人は珊瑚に「知り合い?」と聞いて来
 た。
 返事はせず、早歩き。
 いやダッシュだ。

またか!
あれ程来るなと言って、「分かった」って言ったのにまた来たのか!

 肩を怒らせながら、前回と同じよう賑わっている輪の中へと入って行き怒鳴る。

「あれ程来るなと言っただろう!」

 頭に来ていた為、回りが目に入っていない。
 回りが「高津?」と驚いている。
 あれ程外で竜也との関わりを気にし、嫌っていた事を忘れていた。
 だがその視線の先には、鳳学園の制服で坊主頭の男で非常に顔の宜しい人物
 が立っていたのだが、全く知らない男だった。

「・・・・誰?」

 思わず聞いてしまった。
 その変わりように集まっていた生徒達がコケた。

 回りは校内で有名な珊瑚と、目の前にいる男らしい容姿の整った人物の間を視
 線が行ったり来たり。
 興味津々で見ていた。
 男は珊瑚を見て目を見開き、明らかに驚いていた。

「君が・・・、高津珊瑚?」

いきなり呼び捨てかよ

 間違いなく竜也の関係者だと思った。

「だったら何?」

 腕組みをして相手を睨み付ける。
 機嫌が悪いので返事も高飛車。
 相当態度が悪い。
 更に男の目が見開かれる。

「美人だけど男で、しかも気が強い・・・・」

 目の前に本人がいるのに、口に出して言うとは。
 なんて失礼な奴だと目がつり上がる。
 
無視だ

 さっさと歩き出し門を出た。
 その後を男が追いかけて来る。

「待ってくれ、高津君。 君は美人だが気が短いな」

喧嘩を売っているのか!
美人だけど気が強い?
なんか関係があるのか!

 足は止めず男を一瞥し、更に速度を上げた。
 そして男も置いていかれないよう足を速める。

「ちょっと、何を怒っているんだ。 話しがあるんだ」

 何が珊瑚を怒らせたのかも分からない男に用はない。
 それに珊瑚には話しもない。
 鳳の制服を着ているという事は、竜也関係だろう。
 本人だけでも大迷惑なのに、これ以上竜也関係者と拘わりたくはない。
 黙って早歩きをする珊瑚を「待ってくれ」「話しがある」と言い続け追いかけてく
 る。
 足を止め振り返る。

「煩い、邪魔だ、鬱陶しい。 あんたに話しはあっても俺に話しはない。 ストー
カーするなら他を当たってくれ。 非常に不愉快だ。 以上!」

 言いたい事だけ言い歩きだそうとした所、腕を捕まれた。

「ち、違う。 ストーカーじゃない!」

「気安く触るな」

 捕まれた腕を振りほどく。
 冷たい視線に男は固まる。

『やだ、ストーカー?』

 回りからの冷たい視線と聞こえてくる声に男は焦り、必死で違うと訴える。
 
「本当に違うから! 申し訳ない。 ストーカーでは決してないから」

 そんな事位分かっている。
 腕を前で組み、ギロリと男を睨み上げる。
 綾瀬程ではないが、珊瑚も睨み付けると迫力がある。
 素直なのか、人がいいのか、しどろもどろになりながら「竜也の事で」と話しだ
 した。
 聞いてやってもいいが、「あんた誰?」と基本的な事を相手に教える。

「あ、すまない。 俺は鳳学園2年真田由也」

「で、その真田さんが俺に何の用?」

「剣竜也の事だ」

やっぱり・・・
 
 9月も残り僅かにも拘わらず日差しはキツイ。
 また倒れては大変だ。
 本当なら話など面倒くさいのでしたくはないのだが、今日断ってもこの男はまた
 会いに来るだろう。
 面倒な事は一度で済ませたい。
   
「分かった。 話しはするから俺のあと着いて来て。 でも5mは離れてよね。 誰
かに見られたら明日学校で煩くて仕方ないから」

 既に見られている事を忘れている珊瑚。
 人指し指をビシッと真田に突きつけ、さっさと歩き出した。
 珊瑚の迫力に押されながら、真田は言われた通り5m距離を開け後を追った。
 駅まで行くと、そこには鳳学園制服を着た生徒が約15名程の姿が。

 白鳳学園の生徒達が彼等の事をチラチラと伺いながら通り過ぎて行く。
 鳳学園の制服を着た彼等の頭は坊主。
 そして容姿もかなりイケている。
 聞くまでもなく、剣関係者だと分かる。

「はぁ・・・・・」

 ため息を吐き、しかし足は止める事なく彼等の前を通り過ぎる。
 あれが全部ついて来るのかと思うと気が滅入る。
 チラリと視線を向けると、真田の後に続いて集団もやって来る。

 直ぐさま頭の中で、あれだけの人数がいても大丈夫であろう店を探し出す。
 出来れば駅から離れた場所が良かったのだが、この近辺では思い浮かばない。
 仕方なく駅の反対側の階段を下りて駅前のファミレスへと入って行く。
 何人かは見られるだろうが、殆どの生徒は電車に乗り別な所で放課後を過ご
 す為、駅反対側には下りて来ない筈。

 ファミレスなどお坊ちゃまな彼等はきっと利用したことも、今後する事もないだろ
 う。
 しかし用もないのに勝手に突然やって来たのは彼等だ。
 味に文句があろうが知った事ではないし、構わない。
 珊瑚の後に続き続々と入って来た。

 突然入って来た美形集団に、先に店内にいた女子高生やお母様集団が色めき
 立つのが見てとれる。
 案内としてやって来たアルバイト定員の女子が、顔を赤くしながら人数を聞きに
 来テーブルを準備しに戻って行く。
 戻って来た時は別な店員になり、注文は一人ですればいいのに5人もやって来
 た。

鬱陶しい・・・・
 
 品物が来るまで一同黙ったまま。
 だが全員の視線が向けられている事は分かる、品定めされている。
 珊瑚も順番に彼等を品定めして行く。

鳳は顔で生徒を取るのか。

 タイプは違えど皆容姿が整っている。
 流石スポーツ、野球をやっているだけあって体格もいい

でも頭坊主・・・・
笑える

 髪型と顔のバランスの悪さに思わず笑ってしまう珊瑚だった。

 そんな珊瑚を見て一同見惚れていた。
 特に正面にいた真田はもろに見てしまい、思わず顔を赤くしていた。
 そんな中、刺すような視線が。

 今まで気付かなかったが、一人だけ坊主でない者がいた。
 サラサラな栗色の髪。
 かなり可愛い部分に入るだろうが、とても気が強そう。
 少しつり上がりぎみの大きな瞳が珊瑚を睨み付けていた。
 その視線の意味など分かりたくないが、分かってしまう自分が凄く嫌だった。

マネージャーで、竜也の事が好きってパターンだな・・・・





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