3周年企画

おとぎ話のように

(4)






「・・・あっ・・・ああん、・・・だめ・・・・」

 ウィリアムの下で、美しく乱れる暁兎。
 こんなに可憐で清楚な日本人がいるとは思わなかった。
 


 ウィリアムは表面は穏やかで人当たりが良く優しげな顔をしているが、
 実際は非常に好き嫌いが激しい。
 日本人に対しても、いい印象など持っていなかった。
 図々しくて遠慮がない、それが日本人だと思っている。

 特にここ数年で印象は最悪なものに。
 日本に訪れるたび人に断りもなく、携帯電話の機能を使い写真を撮り、
 馴れ馴れしく声をかけてくる。
 仕事の時も、楽しくもなんともないのに薄ら笑いを浮かべ、媚びるような
 態度を向けてくる。
 何を考えているのか分からない。
 非常に不愉快な人種だった。

 中には、スマートな会話、堂々とした物腰そして鋭い指摘、観点で立
 つ、経営センスの優れた者もいた。
 このホテルにいる日本人も、それなりに優れている者もいたが、その内
 の何人かは、ウィリアム顔色を伺う仕種が所々見られる。
 
 その気持ちは分からなくもない。
 つい先日、ウィリアムはこのホテルのオーナーとなった。
 彼等は新しいトップの顔色を伺っているのだろう。
 各ホテルにはウィリアム自らが送り込んだ者が、様々なチェックをし、手
 入れを始めている。

 逐一報告が入り、使えそうにない者は全て解雇されていった。
 それは一般従業員は勿論の事、支配人、役員であっても同じ事。
 それ故、今回のウィリアムの来日にこのホテルの役員、従業員は戦々
 恐々としていた。
 失敗のないよう、解雇などにならないよう常にウイリアムの顔色を伺っ
 ている。

 そしてそれとは別に、ウィリアムはイギリス国内でも名門と言われる、バ
 ウスフィールド家の子息。
 バウスフィールド家はイギリス、そしてヨーロッパ各地に広大な敷地、そ
 して幾つかの城と別荘、ワイナリー、ファームを所有している。
 それ以外にも、アンティーク家具の売買を手がけたり、兄自身オークシ
 ョニアとして有名なオークションを取り仕切っている。

 現在は、バウスフィールド家はその兄アレックスが家督を譲り受け当主と
 なっている。
 父が兄に家督を譲る際、ウィリアムも幾つか、城、別荘などを譲り受けて
 おり、最も気に入っている城を一つだけ残し、残りはホテルやスパとして
 開放し事業を始めた。
 その内の一つ、湖の畔にあるスパは、その美しさから現在多くのセレブ
 の注目を浴び、予約が2年先まで埋まっている。
 
 ウィリアムはホテルのオーナーでもあるが、レーサーが本業。
 今回も10月に鈴鹿でレースがある為、日本に来日した。
 ホテルの視察はそのついでだ。

 買収したホテルの一つが日本に、沖縄になければ来る事もなかっただ
 ろう。
 偶然日本にあったため、レース前に沖縄に寄っただけ。
 そして実りのない不愉快な視察も終わり、明日には沖縄から移動し、少
 し早いが鈴鹿に入る予定となっている。

 そして沖縄最後の夜。
 普段はホテルの部屋で食事をしているのだが、最後の日ぐらい気分を
 変えてみようかと、ホテルの日本食レストランで最後の夕食を摂る事に
 した。
 日本人は好きではないが、日本で食べた食事は全てが素晴らしく美味
 しかった。
 唯一食事に関してだけは満足し、部屋に戻ろうと秘書やレースチームの
 マネージャー、監督、ボディーガード達と歩いている時にその視線を感じ
 た。

 見られる事には慣れている。
 置かれている立場、そして容姿が人々の関心を惹く事を知っていた。
 またいつもと同じかとウンザリし、始め視線を無視しようとしたが今回は
 何となく気になり、辿りそして釘付けになった。
 
 ホテルの中庭を照らすオレンジ色のライトの光の中、その人物は立って
 いた。
 小柄で幼い少年。
 人工的な光にも拘わらず、その日本人の少年の周りは輝いていた。
 離れている為に、その容姿はハッキリとは分からないが、その場に佇
 む姿が草原にひっそりと咲く可憐な花のようで、今まで見た誰よりも美
 しいと感じた。

『なんて美しい・・・・』

 自然と褒め称える言葉が零れた。

『ウィリアム様?』

 突然立ち止まったウィリアムに、秘書でありバウスフィールド家に仕え
 るユアンが同じように立ち止まり視線を追う。
 そしてウィリアムと同じよう、少年を見つけた。

『あの方が?』

 どうかしたのかと聞いてきた。
 だが答える前に、少年は身を翻しその場から走り去ってしまった。
 
『待って!』

 叫んだものの、届く筈もない。
 ウィリアムは少年の後を追った。

『ウィリアム様!』

 ユアン達も直ぐさま追う。
 だが、ホテル内は四方に通路があるために、見失ってしまった。
 


彼は何処に・・・

 少年が走り去ったと思われる方向に、ウィリアムも走った。
 途中エレベーターがあったが、乗った形跡はない。
 直ぐ近くには階段が。

『ここを使ったのか?』

 階段を駆け上がる音。
 迷う事なくウィリアムも駆け上がった。
 音から少年が近くにいる事が分かる。
 3階まで上った所で、少年の姿を見つけたが直後姿が消えた。
 ウィリアムは登り切った後、階段から通路に出ると少年が部屋の鍵を取
 り出し、ドアを開けようとしている姿を見つけた。
 部屋に入ってしまう前に、少年の元へ駆け寄る。

『掴まえた』

 掴んだ腕は余りにも細く、少し力を入れ握れば折れてしまいそう。
 突然腕を掴まれた少年は驚き、ウィリアムを振り仰いだ。
 間近で見ると、その可憐さに目を奪われる。
 走った為か、上気した肌。
 欧米人とは違う肌の白さがほんのり色づいている。
 肌理細かい肌は吸い付くようだ。

『間違いない』

「え?」

『見失わずによかった。 この美しい瞳・・・。 まるで黒真珠のような輝
き。 君こそ、僕が探し求めていた人・・・・』

 驚いた顔はあどけなく、長い睫が震え、潤んだ瞳で見詰められた瞬間
 ウィリアムの中に抑えきれない衝動が走り、そのままふっくらとした唇
 を奪った。
 こんな激情に駆られた事は、レースの最中でさえ起こった事がない。
 一目、それも遠目で見ただけなのにこれ程までに惹き付けられた存在。
 
離せない!

 ウィリアムから与えられるキスに翻弄されながらも、必死に答えてくる。
 時折漏れる声が甘く、ウィリアムの耳を刺激する。
 その息遣いから、行為になれていない事が伺える。
 何もかもが真っ白である少年に、ウィリアムは激しく欲情していた。

彼は私のものだ

 キスを唇から首筋へと移動させ、その白い肌をきつく吸い上げ朱の印を
 付けていく。
 体をまさぐりながら服を脱がしていく。
 フットライトの光に浮かぶ少年の体は今まで見た誰よりも、ウィリアムの
 欲望を刺激した。



「あ、ああ・・・・んっ・・・・」

 フットライトの光に中、ベッドで二人もつれ合う。
 情熱的なキスに、身も心も溶けていく。
 里沙とのキスが、如何に子供のような触れ合いだったのかを思い知る。
 キスだけで、体が高ぶるなんて知らなかった。

 服を脱がされながら、至る所へとキスが降り注がれる。
 時には強く吸い上げられ、時には優しく啄まれ。
 衣服に包まれ、日焼けしていない部分に朱の印が刻み込まれていく。
 触れられた全ての場所から、痺れるような快感が生み出される。
 
「う、んん・・・・」

 必死で声を抑えるが叶わない。
 好きな相手に嫌われたくないという思いが強いのに。

『声は抑えなくていい。 君の声は何処までも甘い。 その甘い声をもっと
私に聞かせて欲しい。 ここには私と、君の二人だけだ』

 情熱的なその声だけで、達しそうになってしまう。
 
「あっ、そんな所・・・・、あぁ・・・・」

 胸の飾りを吸われた暁兎は、男の少し長くウエーブがかった黄金の髪
 を両手で掴む。
 気持ちとしては、その頭を胸から剥がそうとしているのだが、実際に
 は頭を掻き抱いていた。

 胸が感じるなんて知らなかった。
 吸われ、舐められるたびに下半身に熱が溜まっていく。
 暁兎の育ちきった欲望からは先走りが零れ、全体を濡らしていた。
 刺激を受ける度、体がビクリビクリとベッドから浮き上がり、そして育ち
 きった欲望が覆い被さる男の鍛えられた腹筋に押しつけられる。
 
「あ、やぁん、あ・・・・、くぅ・・・・」

『こんなに、トロトロに・・・、嬉しいよ』

 誰にも触れられた事のない欲望を彼の手に絡め取られ、そして高められ
 ていく。
 暁兎の口からは止まる事なく嬌声が零れた。
 頂点がそこまで見えている。

『我慢しなくていい。 さあ』

 何を言われているのかは分からないが、耳元で囁かれより強く擦られた
 事で頂点に達した。
 
「あ、んんっ! い……ああ…いくっ…っ!」

 達する瞬間、暁兎は彼の首にしがみついた。
 そして甘い痺れに動けないでいる所、手が最奥へと伸び、手に放った
 蜜が塗り込められた。
 
「あ、いや・・・・、そんな所」

『大丈夫、怖くない』

 羞恥に抵抗する暁兎にキスをし宥め、そして壊れ物に触るかのように
 丁寧に解していった。
 始めむずがゆくそして違和感しか感じなかった蕾。
 指が入って来た時は恐ろしかったが、優しく囁く声とキスに身も心も蕩
 かされ全てを委ねた。

 蕾に指とは違う熱、そして彼の欲望を感じた時少し怖かったが彼を信じ
 身を任せた。
 ゆっくりではあるが、確実に暁兎に体内へと侵入しててくる。

「うっ・・・・、くぅ・・・っ」

「・・・っ」

 破瓜の痛みに、抱きついていた背中に爪を立ててしまう。
 背中に痛みがあるだろうが、彼はそれを口にはしなかった。
 互いの体に汗が浮かぶ。
 暁兎も相当痛みがあるが、彼にも同時に痛みを与えているだろう。
 背中もそうだが、侵入して来ている欲望を強く締め付けているのだか
 ら。
 少しでも、彼の負担にならないよう必死に力を抜こうとするが、初めてな
 のでなかなか上手くいかない。
 
どうしたら・・・・

「やあっ! ・・・・・んっ・・・」

 破瓜の痛みですっかり硬さをなくした暁兎の欲望に手が絡む。
 ゆっくり揉むように、そして擦られた。
 甘い刺激をもたらされた事で、蕾に入っていた力が抜けていく。
 柔らかくなった事で、一気に彼の欲望が押し入った。

「あっ、ぁんっ・・・・・!

『入った』

 背中をあやすようにさすられ、そして二人は見つめ合う。
 情熱的な光を放つ青い瞳に見つめられ暁兎は幸せだった。
 例え一晩でも、好きになった相手と結ばれる事が出来たのだから。
 彼に向かってフワリと微笑んだ。

 彼は一瞬息を詰めそして今までの優しいキスではなく、全てを奪うような
 激しいキスをしてきた。
 同時に激しく中を穿たれる。

「あ、あ、ああっ・・・! はぁ・・・・っ・・・・ん!」

 自分の意思ではどうにもならない。
 激しさに、そして熱く大きな欲望に暁兎は溺れていく。
 浅く、そして時には深く。
 中をかき回されるように穿たれ、ある一点を彼の欲望が掠めた時暁兎の
 体が大きく撓った。

「いやぁぁぁ、だめぇ・・・・!」

『ここが君の良いところだね・・・・』

 彼はそこを重点的に擦りだした。
 
「あ、・・・いあ・・・、いい・・っ・・・」

 痛みにしがみついていた手が、今度は快感の為にしがみつく手に変わ
 る。
 暁兎は快楽の海に溺れながら蜜を放つ。
 そして彼も低く呻き暁兎の中に熱を放った。
 濡れた髪をそっと掻き上げられ、優しいキスを瞼に落とされる。
 このまま心地よい眠りにつきたかったが、中に入っている彼の欲望がま
 だその熱さを失っておらず、達した暁兎の体を刺激していた。

「あ・・・・・」

 彼を見ると、少し照れた顔。
 その顔が凄く可愛くて、疲れていたけれど彼の首にそっと手を回し、ほん
 の少しだけ顔を寄せた。
 大胆な行動に自身が驚いた。
 だが後悔はしない。

 彼は少し目を見張ったが、綺麗な笑みを浮かべ暁兎にキスをしながらま
 たゆっくりと蕾を穿ち始めた。
 二人の甘い行為は暁兎が気を失うまで続けられた。





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