ナ・イ・ショ
(10)

33333Getされた、りんりん様より

貴章のバースデーのプレゼントの為に友人の紹介でコスプレ
パブでバイト。 ボケをかましつつ慣れてきた若菜だったが、
貴章に見つかり、ラブラブなおしおきv





 雄大は千葉を伴い入り口へ向かい丁寧なお辞儀ををする。

「ようこそ、おいで下さいました剣総帥」

 日本経済界のだけでなく、海外へ多大なるの影響を及ぼす事の出
 来る剣財閥総帥剣賢護が立っていた。
 その横には神崎和磨が。
 神崎は知るものなら知っている清風会の跡取りで剣とは親戚にあた
 る。
 その後ろには数名の者が控えていた。

「こういった手の店に来るのは初めてだが、思った以上に人気がある
らしい。 そう思わないか?」

「・・・・・ええ」

 賢護が和磨に話しかける。
 雄大が銀座に構えている店には時々気まぐれで足を運ぶ。
 その時に変わった店を出すと聞いていた。
 今日その近くまで来ていたのでフラリと立ち寄ったらしい。

「こちらにどうぞ」

 雄大に案内され奥の個室へと足を運ぶ。
 先に来ていた者達もそれなりな地位や金を持っているが剣には敵
 わない。
 それだけ彼らは特別なのだ。
 これを機会に繋がりを持ちたいと思うのだが、この集団はそれを寄
 せ 付けない尊大さがあった。
 移動と共に周りの視線が動く。
 店の中も静まりかえっていたのだが、ある一角だけは華やいだも
 のだった。

 見ると若菜が華道家、花柳流の時期家元、花柳基の席に着いて
 いた。

「まあ、私もバリ島好きですの。 日本とは全く違う神秘的な雰囲
気。 特にタナロットのサンセットは胸が締め付けられるような美し
さでしたわ」

「君もそう思うかい。 僕達気が合うね。 今度ゆっくり食事でもどう
かな」

 若菜の手を取ろうとする花柳。
 それをさり気なく交わす若菜。

「ここで何をしている」

 抑揚のない低い声にその席に着いていた者達が振り向く。
 見ると神崎が数名の者と立っていた。
 その後ろから剣もやって来る。

「あ・・・・・・・」

 こんな特殊な場所では絶対知人にあう筈がないと、もし合ったとし
 ても自分だと分かる筈がないと思っていた若菜。
 
 それが知人に会い、しかも相手には若菜である事が分かっている
 らしい。
 思わず声が出てしまう。

「ここで何をしている」

 もう一度神崎に聞かれる。

「あの・・・・え〜〜っと・・・・」

 答えに窮していると「知り合いなのか」と賢護が若菜を見る。
 表情は変わっていないが、少し驚いた口調。

「君は・・・・・」

 どうやら賢護も若菜に気付いたらしい。

「あはっ・・・・・」

 冷や汗の流れる若菜。
 
どっ、どうしよう・・・・・・・

 周りも固唾を呑み見守る。
 同じ席にいた花柳は思ってもいなかった大物の登場に緊張し、全
 く動く事が出来ない。
 一緒に居た者もそうだ。

 雄大に至ってはパニックをおこしている。
 
 一介の高校生である若菜が何故清風会の若と?
 何故剣財閥の総帥とまで知り合いなのか。
 しかもかなり親しいようだ。

「久我山は知っているのか」

「・・・・・・・えへっ」

 笑って誤魔化そうとする若菜。
 神崎は無言で携帯を取り出し何処かへ連絡を
 入れる。

「・・・・・俺だ。 直ぐに来い。 場所は・・・・お前なら直ぐに分かる」

 短い会話で切り、若菜を立たせる。

「行くぞ」

 奥の部屋へ。
 珊瑚と有樹は何が何だか全く分かっていない
 が、若菜に連れられ同じように奥の部屋へ。

 雄大も奥の部屋へと足を運んだ。

 その集団が部屋へ入った後のフロアーは騒然となっていた。
 剣達の事も気になるが、一番気になるのは連れて行かれた3人の
 事。
 一体どういう関係なのか。
 色々な憶測が飛び交っていた。

 初日一瞬だけ優越感に浸っていた桜子も、完全な敗北だと知っ
 た。



「今の電話もしかして・・・・・」

 神崎は何も言わなかったが、視線が物語っていた。
 しかも、怒っているような視線。

 若菜はガックリと肩を落とした。
 会話からすると、貴章がここに来る事は間違いない。

うえ〜〜〜ん

 泣きが入る。
 内緒でバイトをしていたのを知られてしまい、その内容まで。
 まだ二日しか働いていないのに。
 貴章の事だから、このバイトは今日で終わりにさせる筈。
 
 かなり情けない顔になっていた。

「どうしてここに?」

 そんな若菜に剣が話しかける。
 若菜に会うのは2回目だが強烈に覚えている。

 初めて会ったのは友人の息子の結婚披露パーティーの時。
 
 自分の友人久我山正道の息子で、今一番気になっている久我山
 貴章の連れていた人物。

 その場には光が溢れていた。
 天使の存在など信用してはいないが、実在するのならこんな感じ
 なのかと思う。
 外見の美しさもさることながら、見る者を魅了する優しい微笑み。
 冷酷な表情しか見た事のない貴章の表情が隣でとても穏やかな
 顔をしているのに驚いた記憶がある。
 その時は挨拶と、簡単な会話しかしなかったが涼やかな声と頭の
 回転の良さ、人を気遣う優しい心の持ち主だと思った。

 その貴章の宝が何故こんな所でこんな衣装を着ているのか理解
 が出来ない。
 貴章に内緒なのは分かるのだが。


 あと何十分かで貴章が来てしまう。
 隠していても仕方ないと腹をくくり話始める。
 この店が友人の叔父の店。
 貴章の誕生日が近い事。
 全てを話した。

 三人以外の皆が無言に。

 いたたまれなくなる。

 無言の中神崎の連れが疑問を投げかける。
 神崎の連れは3人。
 内二人は若菜の知る者。
 漆原友之と澤部好哉だ。
 言葉を発したのは澤部だった。

「戸田若菜?」

「はい」

「・・・・・・またかよ」

 前回に貴章に連れられてお礼に来た本来の若菜を見て思わず腰
 を抜かしてしまうという失態をおかしてしまった澤部。
 絶世の美女と思っていただけに、また若菜だと知り腰を抜かしそ
 うになる。
 2回目だけあって今回は抜かさなかったが・・・・
 ふと、横を見ると漆原の冷たい視線があり、バツの悪い澤部だっ
 た。

 
 開き直った若菜。
 神崎達に二人の友人と雄大を改めて紹介し、有樹達にも神崎の
 事を紹介した。
 
 庶民だと思っている二人からしてみれば雲の上の、絶対に知り合
 う事のない存在に恐縮しまくるが、思いの外気さくに話しかけてく
 れる。
 金持ちなのに嫌みな所が一つもないし。

 ただ珊瑚は相手は「剣」と聞いてもしやと思ったが、剣財閥の御曹
 司が男と同棲する訳がないと。
 家族が絶対に許す筈がないと思いこんでいた。

「3人共男の子とは思えないくらい美人だね。 こんな美人な甥御さ
んがいて榊君も鼻が高いね」

「恐縮です・・・・」

 ただただ呆然な雄大。
 普段は挨拶だけて、同じ席を共にし、会話する事などありえない。
 それが、若菜の友人の叔父と分かり同席を許され話かけられると
 は。

こいつは一体何者だ?

 こんな言葉が頭の中をずっと回っていた。 

バンッ!

 和気藹々と話していると、特別室のドアが大きな音を立てて開か
 れた。

 そこには見るから怒りの表情を浮かべる貴章の姿があった。


 


 


   
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