ナ・イ・ショ
(8)

33333Getされた、りんりん様より

貴章のバースデーのプレゼントの為に友人の紹介でコスプレ
パブでバイト。 ボケをかましつつ慣れてきた若菜だったが、
貴章に見つかり、ラブラブなおしおきv





 翌朝、学校に行き教室に入ると既に有樹が来ていた。

「お早う、有樹。 今日は早いね」

「おはよ、若菜。 今日は彰の朝練につき合って早く来たんだ」

 有樹は恋人の彰と毎日登校している。
 彰が部の朝練がある時もない時も。
 有樹は彰が朝練の時は一人で登校すると言っているのだが、彰
 が断固反対し有樹を迎えに行き登校しているのだ。

 こんな時、年下とはいえ、同じ学校に通う恋人がいるのは羨まし
 い。
 珊瑚に至っては同棲しているのだから、なお羨ましい。

「そうなんだ。 大丈夫?」

「何が?」

 有樹もバイトは始めての筈。
 自分があれだけ疲れたのだから、華奢な有樹もそうとう疲れた筈。
 
「バイト・・・・・」

 周りに聞こえないように、有樹の耳元で小声で話す。

「思ったより大丈夫。 こう見えても体力あるから」

 力拳を作る有樹。

「そうなんだ〜。 僕昨日疲れてお風呂で溺れそうになったんだ。 そ
したら、お父さんと青葉の二人が『危ないから、一緒に入る』って大
変だったんだ〜」

「そ、そうなんだ・・・・・」

 余りの過保護ぶりに思わず引いてしまう。

「それだけは、止めてくれ・・・・・・」

!! 

 突然の綾瀬の登場に驚き飛び上がる二人。

「おはよう!」

「お、お早う、綾瀬」

「お早う。 そういう心臓に悪い事は止めてくれ。 兄さんが聞いたら
恐すぎるから・・・・・」

 取り合えずバイトの事は聞かれていないようだと一安心だが、綾
 瀬の言っている意味が分からない。

「?」

 不思議そうな顔で、綾瀬を見る。
 貴章の何がそんなに恐いのか、全く分からないから。

「だから・・・・その事は頼むから、絶対に兄さんには言わないでくれ」

「どうして?」
 
 いくら家族だからといっても、貴章には通用する筈がない。
 たった一つの、本当は誰にも見せたくない、自分の手元に置いて
 おきたい大切な宝物なのだから・・・・

それなのに・・・・・・

 全く何も考えていない、無邪気な若菜。

「あのな・・・・・もし、兄さんが他の誰かとお風呂に入ったらどうする
?」

 貴章が、他の誰かと・・・・・
 あの逞しい身体を若菜意外に曝す・・・・
 どんどん想像が膨らんで行く。
 『誰か』が綾瀬や、友人という事に意識が行かず、全くの他人を思
 い浮かべる。

 貴章にしなだれ掛かる影。
 それを優しく抱きしめる貴章。

「・・・・・・・うえっ・・・。 やだぁ〜〜〜〜。 ヒックッ・・・・」

 悲しくなり、泣き出す若菜。

「うわっ! バカッ、何想像してるんだ。 あり得ないから泣きやめ!」

 オロオロする綾瀬。

「あ〜〜〜、綾瀬何朝から若菜泣かしてるんだよ」

 振り向くと珊瑚が竜也と一緒に教室に入って来た。

「珊瑚! 何とかしてくれ!」

 思わず珊瑚に助けを求める綾瀬。

「どうしたんですか?」

 竜也が綾瀬に尋ね、事の次第を話す。

「貴章さんが、若菜さん以外の誰かとですか? そんな事あるわけ
ないですよ。 誰の目から見ても貴章さんのパートナーは若菜さん
以外いないですから。 当然貴章さんも若菜さん以外は誰も選びま
せん。 これは、何があっても変わる事はないですね。 僕のパー
トナーが珊瑚以外の誰でもないのと同じです」

「バ、バカ! 時と場所を考えろ!」

 竜也の熱烈な言葉に顔を赤く染め、珊瑚が喰って掛かる。

 珊瑚の事は放っておいて、若菜はその言葉に泣きやむ。

「ホント?」

「絶対に」

 力強い竜也の言葉に微笑む若菜。
 綾瀬もホッ一息吐く。 

「綾瀬さん、貸しです」
 
 何かを含んだ眼差しと言葉。

「!」

 自分の言葉で若菜を泣かせてしまい、挙げ句フォロー出来ずに、
 竜也に借りを作ってしまうとは・・・・・・
 
 若菜に何か、特に貴章の事を話す時には言葉を慎重に選ぼうと堅
 く誓った。

 丁度始業のチャイムが鳴る。


「若菜今日は?」

 放課後、昨日と同じ様に綾瀬が聞いて来る。

「あ、ゴメンね。 今日も駄目なんだ」

「そう。 じゃあまた明日」

「またね」

 綾瀬を見送り有樹の元へ。

「彰君は?」

「大丈夫。 今日も部活だから。 日曜に大会だから今週は帰るの
が遅いんだ」

「そう、良かった。 珊瑚は・・・・」

 見ると珊瑚が竜也に手を振っていた。
 竜也も珊瑚に手を振り、教室を後にした。
 大丈夫なようだ。




「こんにちは〜〜〜」

 元気よく若菜が5階の雄大の事務所のドアを開ける。

「良く来たな。 疲れただろ、時間はまだあるから。 ほら、ここに座
れ。 千葉! 三人に冷たい飲み物を」

 昨日とは打って変わった、ご機嫌な雄大。
 この変わりようは?

「若菜君、ケーキは好きかな? そうだ、腹は空いてないか? 下
の店から何か取るぞ」

 思い切り顔が引きつる。

恐いよ〜〜〜〜〜

「お、お構いなく」

「遠慮するな。 そうそう、今日の衣装はこれなんだが、何か足りな
い物はあるか? ん?」

 まだ着替えていない制服姿で、天然記念物ばりのダサイ姿なの
 にご機嫌な雄大。
 口うるさい秘書の千葉がいないのを良い事に、若菜に思い切り接
 近する。

「叔父さん・・・・・」

 昨日あれだけ注意したのにも拘わらず、若菜にちょっかいを出そう
 とするとは!
 やはやり一度痛い目に合った方がいいのでは?

 そんな事を考えていると・・・・・

「・・・・・・・・すげぇ・・・・・」

いつの間に!

 若菜の顔からメガネを外し、ウットリと眺めていた。

 困惑顔の若菜だった。







   
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