流される日常
(5)

40000Getされたyo-yo様より
「運命の人」足掻きながらも馴染んでいく拓巳の新婚生活






 思い出しただけで、ドッと疲れが出てくる。
 
 あの親にして、あの子あり。
 あの社長して、あの社員達あり。

 入る会社を間違えたのだろうか。

 いや、確かに今までも色々あったが、ここまで疲れる事はな
 かった。
 
 全ては良太郎のせい。

 そう思うと手に持つ包丁に力が入る。

ダン!

 まな板の上の鯛を、首から真っ二つにぶった切る。
 そのまま勢いで三枚におろし、お造りにする。
 大根でツマを作り、人参で飾りを作り皿に盛りつけ完成。

いい出来だ

 満足げに頷く。
 その出来栄えに心が落ち着いてく。

 他のおかずは出来ている。
 土鍋で炊いた鯛飯も出来上がり、今は蒸しの状態。
 後は鯛を解して生姜を加えれば出来上がり。

 料理を作りながら後かたづけをする。
 手を洗っていると、後ろから腰に手が巻き付く。
 そして、拓巳の身体の向きを変え、ただいまのキスをする。
 
 拓巳に言われた通り手を洗い、うがいをし、顔を洗って着替
 えを済ませてきた良太郎。

 自分の言いつけを守った良太郎にキスを大人しく受け止め
 る拓巳。

ああ、流されてる・・・・・



 始めてそれをされた時には、迷わず足を踏み、腹に肘を
 打ち込んだ。

「ただいまのキス!」

「・・・嫌だ」

 だが良太郎は負けなかった。
 痛みを堪え拓巳にキスをした。
 
 その時は食器を洗っていた。
 手にはガラスのコップが。
 一つがどんなに安くても五千円はする、バカラのグラス。
 ほんの少しでも欠けてしまえばそのグラスは処分するしか
 ない。
 
 必然的に抵抗も弱いものになってしまう。

 それを良いことに、良太郎は拓巳の唇を堪能。
 拓巳の身体から力が抜けて来た事を素早く察した良太郎。
 素早く拓巳の手からグラスを奪い、流しへと置いた。
 そしてそのままベットへ。
 濃厚な一夜を過ごした。

 朝起きた時には身体がいう事をきかず、モタモタしていると
 隣りで寝ていた良太郎が起き、濃厚なお早うにキスをして
 来た。
 家を出ようと靴を履いていれば、無防備になっているところ
 をつかれ行ってらっしゃいのキスをされ。

 それが三日も続けば「もうなんでもいいか」と投げやりに。

 ただ、外から帰って来たら必ず手を洗い、うがいをする事。
 それが守れないなら、キスをしないと言った。

 それさえちゃんと守れば、心おきなく、抵抗される事もなく
 拓巳とキス出来る。
 良太郎はそれに従った。

 拓巳もそれを守った。
 不本意だが・・・・・

 籍を入れた事実。
 身体の関係もある。
 今更キスぐらいでゴチャゴチャ言っても。

 
 拓巳は、外から帰って来て、着替えをすれば抱きつく事も
 許してくれた。
 家の中限定だが。
 それでも良かった。

 抱きしめて、キスして、エッチが出来。
 夢にまでみたラブラブな生活。

なんて素晴らしいんだろう!

「ん・・・・・ふっ・・・・」

 拓巳の乱れた息づかい。
 絡み合う舌。
 ただいまのキスにしてはかなり濃厚。
 だがこれも普通になりつつある。

 最後に軽く唇を合わせ終了。
 これ以上すると修まりがつかなくなる事を知っているから。
 このままベットになだれ込んでもいいと思う良太郎だが、夕
 食の用意が出来ている。

 新婚二日目で、夕食が出来ていたのにも拘わらず、その
 ま事に及んでしまい、次の日の朝になっていた時に拓巳の
 機嫌が最悪になったのだ。

 キスをしたら殴られ、抱きしめたら足を踏まれ、腹に一発
 喰らい、頭突きまでされ。
 その日は口をきいて貰えなかった。
 夕食も買ってきた総菜。
 寝る時はさっさと寝室に入って良太郎が入って来られない
 ように鍵までかけてしまったのだ。

 鍵などなかった部屋。
 次に日拓巳が部屋から出て直ぐ確認したら、そこにはある
 筈のない鍵があった。
 買ってきて付けたようだ。

 直ぐさま取り外したが。
 だが、また買って付けられては困る。

 兎に角謝った。
 ご機嫌を取りまくった。
 仕事をしているので直接は話せなかったが、手が空いたら
 経理へ連絡を入れた。
 五月蠅いと切られ、また連絡を入れると同じ部署に人が出
 て「取り次ぐな!」とキツク言われたと申し訳ない声で言わ
 れた。
 それが駄目ならメールをと。
 だがそれを見ているとは限らない。
 どうしたもんかと悩んでいたら、第一秘書の代田にどうした
 のかと聞かれ相談をした。

 「任せて下さい」と言って代田は出て行った。
 その後どうなったのかは分からない。

 帰ったら拓巳が夕食を作っていた。
 完全に機嫌が直っていた訳ではないが、「お帰り」とも言っ
 てくれた。
 一体代田はどんな手を使ったのだろう。
 夕食の時には兎に角料理を褒めた。
 実際美味しかったのだから嘘は言っていない。
 
 良太郎の言葉と食べっぷりに、拓巳の機嫌は直っていた。

 
 
 
 
 
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