求める心
(4)


キリ番44444をGetされたレイコ様からのリク





 敬の部屋を後にした恭夜は、その足で行き付けの美容院
 へ足を運ぶ。
 髪の色を金から黒へと戻す為。
 今度こそ稔を自分の物にする為に。
 それには敬の言ったように金髪のままでは駄目だ。

 担当の美容師に言うと、「また何か遊びを思いついたのか
 い」と楽しそうに聞いてきたが、それには答えず「早くしろ」
 と催促。
 自分よりかなり年上に向かってかなりな物言い。

 長年担当しているだけに、そういった態度にも慣れている
 ようだ。
 普通、年下の恭夜にそんな態度を取られようものなら、ム
 ッとした顔になるか、担当が変わるだろう。
 だが、この美容師は違った。
 そういう恭夜の態度がおかしくて、可愛いと思っているら
 しい。
 恭夜の方が、美容師の腹立たしく思う事がある。

どうして、俺の周りには癖のある奴がおおいんだ・・・・・

 家族は勿論、恭夜の父の病院で外科医をしている一ノ瀬
 といい、この美容師といい。
 一番は自分の父親だろう。
 こういう癖のある人物達を目の前にすると、14歳という自
 分の年齢が悔やまれる。
 もう少し年齢がいっていれば、からかわれる事もなく上手
 くあしらえるのだろう。
 舌打ちをしながらも、大人しく美容師に身を任せている。
 
 できあがりは文句ないものに。
 長めの金髪は黒く染められ、ほんの少しだけ切っただけ。
 髪型も少し癖のある髪質をいかしたものに。
 洗練された雰囲気の中に艶が見られる。
 色が、髪型が変わっても中学生に見える事はない。
 雰囲気と、目つきが変わっていないからだろう。

「良い出来だろ。 あ、でもこれじゃあ優等生にはほど遠い
かも。 ごめんね、つい。 でもメガネでも掛ければ別人だ
から。 優等生で通るよ。 雰囲気を柔らかくすれば完璧。
好青年の出来上がり」

何が「つい」だ。

 完全に分かっていて切ったくせに何を言っているんだと
 腹が立つ。
 しかも余計な事まで言う。
 恭夜は鏡越しに美容師を睨み付ける。

「顔、怖いよ」

 爽やかな笑顔が鼻につく。
 睨み付けてきた恭夜の事など全く怖がっていない。
 明らかに面白がっている。
 だが、良いことを聞いた。

 美容院を後にし、その足で今度はメガネ屋へ。
 あの美容師の言う事を実行するのは腹が立が、稔を完
 全に手に入れられるのであれば、多少の事は目をつぶ
 る。
 移動しながら連絡を入れる。
 
 目的の店の中に足を踏み入れると数名の女性店員が我
 先にと恭夜の元へやって来る。。
 青山の一角にある高級眼鏡店の品位を下げる行動に、顔
 を顰める。
 その顔を見た店員達は一瞬にして凍り付いた。
 それらを無視し、別な者に声をかけた。
 「朝霧を呼んでほしい」と。

 言われた店員は驚いた顔に。
 それもその筈。
 「朝霧」とはこの眼鏡店のオーナー。
 この眼鏡店だけではなく、幾つかの宝飾店をも経営して
 いる。
 
 身なりも良く、堂々とした物腰の恭夜だが、朝霧とは親子
 程離れている。
 見た目は20代前半に見えなくもない。
 鋭い眼差し。
 人とは違う雰囲気。
 そんな恭夜と自分達のオーナーの繋がりが分からない。
 
 呼べと言われた店員は困った様子。
 呼びたくとも現在店にはいないから。
 オーナーは常に忙しく常にいどうしている。
 だが店には必ず一度姿を現す。
 それも、ほんの数十分のみ。
 時間もまちまちで何時現れるのか、店の者達も分からな
 く現れるまで常に緊張に強いられる。
 そして、この日は既にに訪れた後。
 恭夜とはすれ違い、ほんの30分前に帰った後。

 恭夜は自分の名前を告げ、朝霧を呼べと言ったきり。
 店員に約束の予定があったのかと尋ねられたが、当然
 アポはとっていない。
 ないと答えた恭夜。
 通常なら追い返されても仕方ない所を、その店員は丁寧
 な態度で恭夜に接した。
 今日は既に来た後で、この後戻る予定はないから改めて
 アポをとってから来てはどうかと。
 
無能だな・・・・・・

 いくら恭夜と朝霧が結びつかないからといっても、確認の
 一つもしないとは。
 本社に、秘書にでも電話をする事すら思いつかないのか。
 もし自分が朝霧の仕事に重要な人間ならどう責任をとる
 つもりか。
 ただ普通に辞めるだけでは済まされないだろう。

いい社会人がそんな事も考えられないのか

 恭夜なら直ぐさま首にするだろう。
 その前に採用しない。

 恭夜を対応した店員に侮蔑の眼差しを向ける。
 向けられた店員はその迫力に動けなくなった。
 恭夜が周りを見回すと、店内の温度が一気に下がる。
 店員だけではない、店にいた客もその雰囲気怯えそれぞ
 れ辞退の言葉を言いながら出ていってしまった。
 ガランとなった店内。
 全員が息を潜め、恭夜を伺う。

一体どうしたら・・・・・

 そう思っていた時、この店のオーナー朝霧が秘書と一緒
 に姿を現した。
 ガッシリとした体型。
 髪は短く、顔の堀は深く、目元には笑い皺が。
 一見温厚そうに見える。
 
 店員達がホッと安堵のため息をつく。
 と、同時にと疑問が。
 一日一回のみと決められていた訪問。
 この日は既に帰った後なのに。

 客の姿が一人として見えない店内に、眉を顰める。
 そして恭夜の姿を認める。

 恭夜は悠然とした態度で朝霧に近づく。
 そして一言「・・・・・遅い」と。

 そんな恭夜に朝霧は苦笑する。
 店にいた者達は驚き焦った表情。
 本当に知人だっとたとは。
 誰もが己の失敗を悟る。
 一言も発しない。
 そんな店員達を見て朝霧は一体どう思ったか。
 
「これでも早いと思うが」

「連絡を入れてから20分経ってる」

 突然連絡して「青山の店でメガネを買うから選べ」と言っ
 て来た恭夜。
 忙しいのに時間を割いて来たというのに、酷い言われよ
 うだ。
 だが朝霧は嬉しそうだった。
 親友の息子達は朝霧にはお気に入りなのだ。
 最近ちょっと反抗的な恭夜を可愛いなどと思っていたりも
 する。
 その恭夜からの頼み事。
 行かない訳がない。

 呼び出された店に着き、中に入るとすっかり変わった恭
 夜の姿が。
 金髪が黒く染め変わっており、服装もきちんとした者。
 この姿を見て、誰が中学生と思うだろう。

 店内を見回すと客が誰一人としておらず、店員達が青ざ
 めている。

悪戯小僧が何かやったな

 朝霧は楽しくて仕方なかった。
 
 

 

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