ハッピー・ウエディング(6)
(運命の人)

キリ番15,000を踏んだyo-yoさんより
拓巳が良太郎親子にどう対するのか・・・








 紹介などされたくないのに、良太郎が引っ張って行く。

 パーティーは立食式。
 皆が自由に食事をし歓談している。

 招待者は皆一流企業のトップや政治家、取引先だったり。
 滅多に合うことの出来ない大物に、自分達の会社を売り込ん
 でいる者もいる。

 その中を通り抜け、良太郎はお目当ての人物の所へ。
 とても見栄えのする集団がいた。
 その周りに熱い視線を送る集団もいた。

「やあ、良太郎君。 今日は本当におめでとう」

 良太郎の父と同じくらいの年齢の迫力ある男性が祝いの言葉
 を言う。

「有難うございます、剣総帥」

何!こいつが剣か!

 殺意を込めて剣を睨む。

「拓巳さん、こちら剣グループ総帥、剣賢護氏です。 剣総帥、私
のパートナー拓巳です」

 良太郎が色々喋っているが全く耳に入って来ない。
 今日、もっとも拓巳を不幸に陥れた疫病神が目の前にいるのだ
 から。
 この男がよけいな事言わなければ、こんな大がかりな事には
 からなかった筈。
 恨み辛みを込め、剣を睨み付ける。

 天下の剣グループ総帥を正面から睨み付ける者はまずいない。
 どんな仕打ちがあるか解らないから。
 しかし今の拓巳には全く関係の無いこと。
 兎に角憎らしいことこの上ない。
 ギリギリと見つめていると、剣が拓巳に目を向けた。
 良太郎には優しげな視線を向けていたが、拓巳には冷たく刺
 すような視線。
 負けるものかと更に睨み付ける。
 暫くの間睨み合いが続いたが、剣の視線が急に和らいだ。

「いい目をしている。 何事にも屈しない目だ。それに度胸もある。
良太郎君はいいパートナーを見つけたようだ。 しかし、完全に
物にしていない」

「解ります? 実はまだ全然俺の物じゃないんです。 俺の一目惚
れで。 でも誰にも取られたくないんで先に手を打っちゃいました」

 悪戯が見つかった子供の様に笑い、開き直る。
 その様子に「困った子だ」という様に苦笑する剣。
 
「いいのか、それで」

「ええ。 時間はたっぷりあります。 必ず俺の物にしてみせます」

「そうか」

 二人の会話を黙って見ていた面々のも挨拶して行く。
 とても不本意だが、彼等には関係が無いので、顔を引きつらせ
 ながらも挨拶する。

「こんにちは」

 挨拶され仕方なく顔を向け驚いた。

何だ! この煌びやかな集団は・・・・・・・・

 目の前の剣に気を取られ周りをしっかり見ていなかったが、剣
 の背後にはタイプの全く違う美形集団がいた。

眩しすぎる・・・・

 そんな拓巳を余所に良太郎が紹介していく。

「こちらは久我山貴章さん。 久我山グループホテル部門の社長
で、このホテルのオーナーです。 今日は突然の事なのに有難う
ございます」

 久我山に向かって軽く頭を下げる。

「いや、気にすることはない」

 背は高く、とても目を引く美貌。 
 声、顔に表情はなく、話す声はとても冷たい。
 人を引きつけるオーラの様な物があるが拓巳としては近づきた
 くはなかった。
 
「その横にいるのが、貴章さんのパートナー、戸田若菜さん」

「初めまして」

 ニッコリと笑う姿に思わず見惚れてしまった。
 見たことのない美貌。
 隣にいる久我山に負けず劣らずの容姿。

人間なのか?

 疑ってしまう様な完璧な顔。
 微笑んだ顔は宗教画で見た天使の様な微笑み。
 ポカンとした顔で見ていると、横から良太郎に突かれ注意され
 た。

「駄目ですよ、そんなに見つめたら。 貴章さんに怒られます」

「へっ?」

 思わず間抜けな声を出してしまう。
 言われその横を見るが、別段変わった様子は見られない。

「若菜さんは貴章さんの最愛のパートナーなんです。 ね」

 若菜を呼ばれた人物は良太郎の言葉に頬を染める。
 それがまた美しくて。

「そんな〜。 最愛のパートナーだなんて、ありがとうございます。
でもそれを言うなら、良太郎さんが焼き餅を焼くからでしょ。 ね、
貴章さん」

 天使が美貌の男に話しかける。
 すると、今まで氷りの様に冷たかった表情がサッと溶け優しく
 綻び、華やかに。

うっ! 心臓に悪い・・・・

 余りの変わりように知人達は苦笑し、周りからはため息が零れ
 る。
 完璧なる対。 
 
「そうだな、私をダシに使うな」

「ばれました?」

 悪びれず言う良太郎に苦笑する。
 更に紹介していく。

「こちらが貴章さんの弟さんで、綾瀬さん。 その横がパートナー
の楠瀬悠二さん」

「初めまして、久我山綾瀬です。 この度はおめでとうございます」

「楠瀬悠二です」

 丁寧な挨拶をする綾瀬。
 先に兄カップルを見た後だからそこまで感動はないが、それで
 も並はずれて綺麗だった。 
 相手の悠二も、今時の若者風で甘い顔立ちでいて格好いい。

「で、最後が次期剣グループ総帥、剣鷹也(たかや)君とパート
ナーの叶(かなえ)さんです。 二人は俺達より先の昨年に入籍
済のまだ新婚ホヤホヤなんですよ」

 自分達よりかなり若いだろう二人。
 鷹也と呼ばれた人物は180pは越え、筋肉質で引き締まった
 体型。 
 チタンフレームのメガネの奥には切れ長な目、スッキリ通った
 高い鼻立ち、シャープな顎のライン。 
 知的で存在感があり、とても10代とは思えない落ち着いた雰
 囲気の人物だった。

 それに対し叶と呼ばれた人物は、艶やかな黒い髪、大きく潤
 んだ黒い瞳、極め細かい白い肌、ふっくら艶々なピンクの唇。
 先の若菜とは全く違う、日本人形の様なしっとりとしたで美人
 だった。


「初めまして、剣鷹也です」

「妻、叶だ」

 落ち着いた口調の鷹也と、顔からは想像できないぶっきらぼう
 な叶に驚いた。

 タイプの違う美形集団を一気に紹介され、今まで不機嫌だった
 気分が一掃された。
 
なんか凄いな・・・・・・
それもそうだが、全部男カップルかよ
確率高すぎ・・・

 その凄い中に混ざっても、自分が全く見劣りしていない事に拓
 巳は気付いていない。
 自分より年下の面々に丁寧に挨拶された拓巳。 
 同じく丁寧に微笑みながら挨拶をした。

「良太郎さん、凄く綺麗な方ですね」

「うむ、私もそう思う。 大人の色気という物を感じる。 拓巳さん
と申されたか、どの様にしたらその色気が出るのであろう」

 叶の口調にギョッとなる。

な、なんだこの子は・・・・・・

 今の時代こんな口調で話す人物を見た事のない拓巳。
 せいぜい、テレビの時代劇で見るくらい。
 和風美人の口からは聞きたくない。
 思わず引いてしまう。
 それを察し、良太郎が拓巳の耳元で「公家の流れの方なんで
 す」と小声で囁いた。
 成る程、それならその口調も解る気がする。

「叶さんとお呼びしても宜しいですか」

「年上なのだから、叶でよい」

「初対面の方に対してそんな呼び方はできませんよ。 それに、
ご主人が嫌がるのではないですか? 妻を人から呼び捨てにさ
れるのは、気分のいい事ではないと思いますよ」

 優しい口調で叶を諭す。

「そのような事はない、と思うが・・・・・・」

 妻と言われ顔を赤らめながらも、不安げに自分の夫の顔を見
 る。

「私としても、関心できませんよ」
 
 優しくだが同じように、夫に言われ仕方なく納得する。
 皆に負けず劣らずの美貌の拓巳。 
 優しい態度と微笑みに、叶はすっかり拓巳の事を気に入ったよ
 うだ。

「では好きに呼んでくれ。 私と仲良くしてくれぬか?」

「ええ、勿論。 俺で良ければ」

 ニッコリ笑って答えた。
 叶も嬉しく満面の笑みを浮かべた。

「狡い。 僕も仲間に入れて」

 取り残されないよう、若菜も綾瀬を引き連れ割って入った。
 和気藹々と話すパートナーをそれぞれのパートナーが嬉しげ
 に見ていた。





 
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