ハッピー・ウエディング(7)
(運命の人)

キリ番15,000を踏んだyo-yoさんより
拓巳が良太郎親子にどう対するのか・・・








 暫くの間楽しく話していたが「ちょっと失礼」と言い一人化粧室
 へ。

 用を足し、皆の所へ戻ろうとすると拓巳を待ち伏せしていたのか
 周りを数名の女に囲まれた。
 煌びやかのドレスを身に纒った若い女達。
 皆それなりの美人揃い。
 パーティーに直接呼ばれたか、その身内の者だろう。
 なぜその女達が自分の周りを取り囲み睨み付けているのか
 全く解らない。
 しかし、自分に対し喧嘩を売っている事には間違いない。
 女だからと言って容赦はしない。

全力で叩き潰す!

 取り合えず出方を見ようとニッコリと笑う。
 それを見て、一瞬尻込みしたが、中でも一番のゴージャス美人
 が皆より前に出て拓巳の事を睨み付ける。

「あなた、男性なのに良太郎さんと結婚だなんて、一体どういう
おつもり?」

 その一言であっさり分かった。
 この女達は皆良太郎の事を狙っていたのに、男の拓巳に取ら
 れ、頭に来ていたのだろう。
 拓巳が一人になった所を狙い抗議しに来たわけだ。
 お門違いも甚だしい。
 収まっていた怒りが再燃し始める。

「そうですね、どういうつもりなんでしょう?」

 微笑み、怒りを煽る。
 当然女達は馬鹿にされたと顔を真っ赤にし、今度は全員で拓巳
 に怒りをぶつけて来た。
 
「まあ! なんなの! 男性でもちょっと見栄えがいいからって、良
太郎さんを誑かすなんて。 一体どんな手を使われたのかしら。
厭らしい!」

「そうよ、あなたより私達の方が家柄も何もかもが相応しいの
のに! 跡継ぎだって産めるんですから!」

 取り合えず、言いたい事を言い尽くすまで黙って聞いていた。
 一通り言い終わったのか、女達は息を切らせながら無言で睨
 み付けていた。
 会場内ではなくとも、これだけ騒げば周りも気づき始める。
 拓巳と周りを取り囲む女達を、皆が注目していた。
 会場の入り口に良太郎達の姿が見えた。

今だな・・・・・・

「言いたい事はそれだけですか?」

 冷たい眼差し、蔑む口調で女達を一別した。

「年頃の、しかもそれぞれ地位のある方々のお嬢様が大声、し
かも集団で公共の場でする事ではありませんよね。 話す内容
も稚拙でとてもはしたない。 ご自分の品格を下げて見て下さい
と言わばかり。 ご家族の方が見たら嘆きますね。 そんなあな
た方が選ばれなくて、俺が良太郎に選ばれるのも当然の事だと
思いませんか? それではそういう事で、失礼します」

「「なんですって!」」

 通り抜けようとすると、両腕を捕まれた。

掛かったな・・・・

 ほくそ笑む拓巳。

「何をしているんですか!」

 良太郎が怒りを露わにしながら女達をかき分け、拓巳の事を掴
 んでいた手を引きはがし、自分の胸に抱きこむ。
 笑いが込み上げる。
 
後は任せた

 女達の嫉妬心を煽るだけ煽り、遅い拓巳の事を探しに来るだろ
 う良太郎を待ち面倒くさい事を任せ、本人の口から引導を渡し
 二度と絡んで来ないようにするつもりだった。
 この後来るであろう良太郎の親も使い。
 自分の事を妻扱いするのなら、己の力で守って貰おう。

お手並み拝見

「あの・・・・・・」

 良太郎の登場に女達が尻込みし、言葉を濁す。

「何故、俺の大切な人をこんな大人数で取り囲んで危害まで加え
ようとしているんですか。 いくら取引先の社長令嬢方とはいえ、
事と次第によっては許しませんよ」

 強くキッパリとした口調で言う良太郎に皆の顔色が変わる。
 しかし、始めに拓巳に抗議してきた女だけは良太郎に強く出る。

「別に危害を加えたりはしていませんわ。 ちょっとお話していた
だけです。 男性なのにどうやって良太郎さんに取り入ったのか
お聞きしていただけです」

 ハッキリ物を言う女だ。 
 良太郎は非難した目で女を見た。

「随分とはしたない事を言われるんですね。 この結婚は俺の決
めた事ですよ。 あなた方にとやかく言われる必要は無い。 文
句を言うにしても相手が違うのでは無いですか。 まあこういう
姑息な事をする相手を俺が選ぶ訳ないじゃないですか。 化粧し
たり着飾ったりする前に中身を磨いた方がいいですよ」

 キツイ口調に女がワナワナと震える。
 それでもまだ良太郎に詰め寄る。
 
「でも、おかしいです。 男性同士だなんて。 私の方が相応しい
ですわ!」

 延々と続きそうな女の抗議。
 いい加減拓巳もうんざりしてくる。
 早く終わらせたいと顔を上げると、良太郎の家族が何事かとや
 って来た。
 ちょうど良いと思い嬉しげを装い声をかける。

「お父様、お母様、お姉様、良君!」

 その呼びかけに皆が拓巳に気付き、喜々としてやって来る。

「おお! お父様と呼んでくれるのい」
「お母様ですって」
「お姉様よ。 呼ばれた事ないわ!」
「拓巳お兄様!」

よしっ! 後は任せた

「探したよ、拓巳君。 花嫁がいなくては盛り上がらないだろ」

 お父様と呼ばれデレデレな良一。
 しかし、周りの雰囲気がおかしい事に漸く気付く。

「どうした、何かあったのか?」

「ええ、この方々が拓巳さんの事を男性だから、俺に相応しくな
いと言って、先ほどまで取り囲み、危害を加えようとしていたんで
す」

 怒りをあらわにし女達を見る。
 自分が慕い狙っていた良太郎。
 目を覚まさせようとしていたのに、こんな言い方をされるとは。
 ショックのあまり顔面蒼白となり口もきけない。

「なに!」
「どういうおつもり!」
「ちょっと!」
「拓巳お兄様になんて事を!」

 良太郎の父や家族に睨まれ、女達は自分たちの失敗を知った。
 誑かした訳でなく、皆が賛成祝福し結婚に至ったのだと。
 そうなると、自分たちのした事は返ってマイナス。
 こんな事で会社や、父の立場が悪くなるとは思いたくないのだ
 が・・・・・・・

「何とはしたない。 こんなめでたい席でしかも私達の最愛の花嫁
を罵倒し悪し様に罵るとは。 教育がなっていない。 そんな子供を
持つ親の会社は教育が出来ていないに違いない! 即刻・・・・・」

 『取引停止を考えよう』と言おうとした良一の手を、いつの間にか
 良太郎の腕からすり抜けた拓巳がそっと取る。

「お父様、いけません。 一時の感情でそんな事を言っては。 こ
こにいらしてる方は皆必要な方ばかりなのではないですか。 俺
は気にしませんから。 やはりこの結婚はなかった事に・・・・・」

「いかん!」
「駄目です!」

チッ、駄目か

 面前で抗議てして来た女達を使い、結婚を破棄し、ついでに女
 達もへこましてやろうと思っていたのだ。
 考えが甘かった。
 更に拓巳に執着し始める。

「君はやはり素晴らしいパートナーだ。 自分を犠牲にし、罵って
いた相手の事まで考えるとは・・・・・・」

「いえ、俺には良太郎さんは勿体ないですからだから・・・・」

 破談してくれと言いたかったのだが、良一は拓巳の両手を取り、
 歓喜の涙を浮かべる。
 良太郎は強い非難をこめた視線で女達を一瞥する。

「君達には、こういう優しく大らかな気持ちがないから俺は惹か
れなかったし選ばれなかったんだ。 拓巳さん愛してます」

 言って良一から手を奪い、抱きしめ覆い被さり熱いキスを拓巳
 に送った。

何をする〜

 藻掻き放そうとするがびくともしない。
 そんな二人を回りは唖然とし見ていた。
 拓巳の唇をここぞとばかりに堪能する良太郎。
 そんな二人の姿を微笑ましく見ていた良一。
 
「さあ、時間はまだたっぷりあります。 二人の門出を祝福しましょ
う。 楽しんで下さい!」

 言って良一が先頭に立ち会場内へ消えて行く。
 その後周りでこの騒ぎを見ていた招待客も中へと入って行く。
 拓巳に詰め寄っていた女達も、二人の姿に勝ち目はないと悟り
 会場を後にする。

 熱いキスと包容は続いたまま。
 散々拓巳を堪能した良太郎。
 力の抜けた拓巳を抱き上げ

「いい夫夫になりましょう」

 ニッコリ微笑まれ初夜を迎えるべく、そのままエレベーターに乗
 せられてしまった。
 フロアーには虚しく拓巳も声が響いた。

「俺は認めね―――――――――!」




おわり  
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如何でしたでしょうかyo-yoさん
最後まで抵抗しましたが虚しく妻になりました




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