ハッピー・ウエディング(4)
(運命の人)

キリ番15,000を踏んだyo-yoさんより
拓巳が良太郎親子にどう対するのか・・・








 部屋の電話が鳴り、代田が取る。

「そうですか解りました」

 受話器を置き皆を振り返る。

「皆様、準備が整ったとの事です」

 ついにこの瞬間が来てしまった。

婚約などしたくないのに・・・

 覚悟を決め、両親に歩み寄り口を開く。

「俺婚約なんてしたくないし、する気もないんだけど・・・・」

 今まで母と二人の世界に入り幸せに浸っていた父芳人の顔
 が一瞬にして変わった。

「何だと? この後に及んで何ふざけた事言いやがる。 我が
儘も大概にしとけや」

 声低く凄む芳人に身の危険を感じ、折角の決意が挫けそう
 になるが、ここではっきり言っておかなければ自分の人生が
 終わってしまう。

「いや、だから婚約したくないと言ったんだけど・・・・・」

「あ〜? んだと! 皆さんにここまで望まれて祝福されてんの
にいい加減にしとけよ! 良太郎さんがこんなにいい人で優し
いのに何が気にくわないんだ!」

 その言い方についに拓巳もキレた。
 芳人に負けないよう凄んでみせる。
 
「だから、俺は無理矢理ここに連れられて来たわけ! 婚約す
るなんて俺は言ってないし出来る訳ないだろう! 男同士で結
婚? 世間の常識ってもんを考えろよ!」

 似た顔同士で激しく怒鳴り合う。
 二人の間には火花が散っていた。
 
「は、常識だ? んなもんテメー達が良ければそれでいいだろう
が。 言いたい奴には言わしときゃーいいんだよ。 いいか、女
は相手に望まれて結婚するのが一番の幸せなんだよ! なあ
母さん!」

「そうよ拓巳。 望まれて嫁ぐのが一番の幸せよ。 おかげでお
母さんは、結婚してからずっと幸せよ」

「母さん・・・・」
「お父さん・・・・」

 互いの言葉に感激し二人また見つめ合い顔を赤らめている。
 拓巳は大声で叫んだ。

「俺は男だ――――――――!」

 煩いなという顔で芳人が振り返る。
 拓巳に向かってビシリと人指し指を突きつける。

「細かい事は気にするな。 兎に角婚約は絶対しろ。 いいな」

 言いたい事を言うと、芳人はこれ以上聞きたくないと両耳を指
 で塞いでしまった。
 
子供かよ・・・・・・・

 ガックリ肩を落とす拓巳の肩を良一が抱く。

「そうだよ、拓巳くん。 男同士でも好き合った者が結婚するの
は当然の事。 周りの事など気にする事など何もない。 何か
言う者、邪魔する者は私達が、一族が綺麗に抹殺してあげ
るから、心配せず嫁いでおいで」

「そうよ拓巳さん。 私達に任せておいて。 こんなに綺麗な人
が良太郎のお嫁さんだなんて嬉しいわ。 あ、姉の良子よ、宜
しくね」

 脇から突然現れたゴージャス美人が手握り締めて来る。
 その横から学生服を着たクリッとした大きな目の可愛い顔の
 子が拓巳の手を奪う。

「狡いよ姉さん抜け駆けなんて。 僕は弟の良です。 初めまし
て」

「あ、初めまして」

 丁寧な挨拶に思わず挨拶し返してしまった。
 その集団から奪う様に良太郎が拓巳を抱きしめ腕の中に隠
 す。

「俺の拓巳さんに馴れ馴れしく触らないで下さい」

「「けち」」

「けちで結構」

 良太郎の広く逞しい胸にキツク抱かれ藻掻き苦しむ。
 
「でも兄さん、拓巳さん苦しそうですよ」

「そうそう、それに綺麗にドレスアップしているんだから止めな
さい」

 スミマセンと慌てて力を緩め謝罪し慌てて綺麗に整える。
 もう怒鳴るのも疲れてしまった。
 
どうにでもなれ・・・・・・

 やけくそな拓巳だった。
 そんなやりとりを見ていた代田が皆を急かす。

「会場にいる皆さんが待ちくたびれてしまいます。 お早く移動
をお願いします」

 これから更に苦痛な目に遭うのかと思うと、いっそこのまま倒
 れてしまいたかった。
 しかし、ここに芳人がいる限り絶対に無理だ。

 その華奢な体の何処にそんな力があるのか解らないが、担
 いででも会場に連れて行くに違いない。
 気でも失おう物ならば、気が付くまで顔を殴られるだろう。
 起きた時にはどれ程顔が変形している事か。
 
恐ろしい・・・・・

 諦め半分、嬉々とした良太郎に手を引かれ、会場まで向か
 う。
 鼻歌まで歌っていのが腹が立つ。
 手を繋いでいても、ベタベタ触っても拓巳に怒られないのだ
 から、ご機嫌で仕方ないらしい。

このまま此奴を殴り倒して逃走するべきか・・・・
・・・・無理だな

 会場に到着。
 閉ざされた会場の扉に、家族達が先に中に入る。
 後に続き入ろうとすると拓巳と良太郎は止められ、一端会場
 の外で待たされた。

いやな予感が・・・・・・

 中から合図があったようだ。

「さあ、どうぞ」

 言われ扉が開く。 
 眩しい光に照らされ二人で中に入った。
 




  
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