ハッピー・ウエディング(3)
(運命の人)

キリ番15,000を踏んだyo-yoさんより
拓巳が良太郎親子にどう対するのか・・・








 仕方なく用意された服を着、入って来たブティック支配人仕上が
 りをチェックされ、鏡の前に立たされ自分の姿を見たときには思わ
 ず眩暈がしてしまった。

やばいよ俺・・・・・・

 鏡に映った自分の姿はそこいらの女優以上に綺麗だった。
 昼間に連れて行かれたエステで肌もツヤツヤ。
 「宝塚?」と思ってしまった位、男装の麗人と化していた。
 額に汗を流していると、「コンコン」とドアをノックする音が。
 拓巳が何も答えずにいると、着替えを手伝ったブティック店員が
 変わりに返事をした。

「失礼します」

 言って入って来た代田の後から、同じく黒の燕尾服を着た良太
 郎が入って来た。
 良太郎は拓巳の姿を見、あまりの美しさに感激し涙を浮かべてい
 た。

「磯谷さん、凄く綺麗です・・・・。 俺幸せです、大事にしますから!」

「ええ本当に綺麗ですね。 さすが良太郎さんの選んだ方です」

 代田もこの出来上がりに驚き、感心していた。

こいつ等一体何を言っているんだ!
そうだこの男のせいで俺がこんな目に合ってるんだ、2、3発くらい
殴ったって撥は当たるまい。

 ツカツカと良太郎に近づき殴ろうと手を上げるが、逆に手を掴ま
 れ胸に抱きしめられてしまった。

「そうですか、あなたもそんなに嬉しいんですか。 こんなに喜んで
貰えるなんて・・・・・さあ隣の部屋で皆さん待ってますから」

 抱擁を解き拓巳の肩を抱き隣の部屋へ。
 勝手な解釈をする良太郎に怒で体を震わせながらも、その言葉に
 敏感に反応する。

皆って誰だ―――――――――!

 案内された部屋には社長で良太郎の父である良一が居た。
 その横に妻らしき人物、兄弟が。 
 その人達と、今回の事を絶対に知られたくなかった、拓巳の家族
 達がここぞとばかりに正装し、和気藹々と話をしていた。

「嘘だろ・・・・・・・」

「拓巳さんのご家族の方は皆さんとても良い方達ですね。 最初お
父様は渋っていらっしゃいましたが、父と話が弾んで。 「うちの拓巳
でよけりゃ、貰ってやってくれ」っておっしゃって。 俺は皆さんに祝
福されて嬉しいです!」

 感極まる良太郎を思わず蹴り飛ばしたくなる。
 あの頑固親父が、まさか良太郎との事を許すとは思わなかった。
 絶対に「男同士で結婚だ?ふざけんな!」と言って反対すると思っ
 たのに。
 いや、是非反対して欲しかったのに。

何故あっさり賛成する!

 拳を強く握りしめる。

「ほほほほっ。 良かったですわ、結婚に賛成して頂いて。 良太郎
さんは本当に拓巳さんの事がお好きで、毎日「今日の拓巳さんはあ
あだった、こうだった」と耳にタコが出来るくらい聞かされていたんで
すのよ。 念願かなって本当に感謝しますわ」

「いいえ。 うちの拓巳こそ、良太郎さんみたいに素敵な方に貰って
頂いて・・・・・有り難い事です。 おほほほ」

なにが「おほほほ」だ!
なに和んでるんだよ!

 怒りに立ちすくむ拓巳。
 隣の部屋から出てきた二人に良一が気づく。

「おお、支度が出来たか・・・・・素晴らしい! なんという美しさだ!」

 拓巳を見て感激する。
 その後ろから拓巳の父親芳人が顔を出す。
 そして息子の姿し目を見張り、普段の頑固者で仏頂面からは考
 えられない様な満面の笑みを浮かべながら声をかけてきた。
 目にはうっすらと涙まで浮かべ。

「拓巳、綺麗だぞ。 俺は嬉しい!こんないい旦那を見つけるなん
てさすが俺の息子だ。 ご家族の方も気さくでいい人ばかりじゃない
か。 いや、本当に良かった・・・・」

何が綺麗だ、自分と同じ顔に向かって・・・・・

 拓巳は父親似。 
 年をとってしまってはいるがそれでも、実年齢よりはかなり若く見
 られる。 
 父芳人の若い頃の写真を見るとそっくりなのだ。
 拓巳も自分が年をとったらこんな顔になるのだろうと疑わない。
 そして、そのそっくりな綺麗で細めなこの父が、家の中で一番強い
 とは誰も思わないだろう。

 拓巳以外の兄弟は皆ガッシリとした体格。
 母はお世辞でも綺麗とは言えない十人並みの容姿。
 だがとても性格が良かった。 
 良妻賢母とはこの母にあるような言葉だと思っていたのだが。

「本当に綺麗よ。 お父さんも昔から綺麗だったけど今日のあなた
には敵わないわね」

「何を言うんだ佳子、私もまだまだ負けてはいないぞ」

「勿論ですよ。 でも花嫁が綺麗なのは当然の事でしょ」

「そうだな。 おまえの花嫁姿もとても綺麗だった・・・・・」

「お父さん・・・・・」

 向き合い手をとり自分達の世界に入り込んでいる両親に舌打ち
 をする。
 頑固者な父は母をとても愛している。
 見ている息子達もウンザリする位熱い夫婦。
 そんな親を無視し兄弟達が側に寄ってきた。

「拓巳・・・・・兄ちゃんは悲しい・・・・お前が嫁に行くだなんて・・・・」

 長男の芳実が半泣きで拓巳を見つめる。
 他二人も涙を浮かべていた。

「どうして賛成したんだよ・・・・・」

 少しでも反対していてくれれば、こんな事にはならなかった筈に違
 いない。
 不甲斐ない兄弟を睨み付ける。

「怒るなよ。 最初は親父も反対してたんだけど、お袋と向こうの母
親が妙に気があったらしくってさ。 その内に、親父同士とお前の相
手が意気投合したみたいで「じゃあ宜しく」って事になってさ。 俺達
は一応反対したんだ。 でもよ、親父が「俺の決めた事に文句ある
か!」って暴れ出してやばかったんだよ」

 その時の事を思い出して三人が震える。
 拓巳も想像して震えてしまった・・・・・ 





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