「あ・・・・やぁ」

　頭の中がボウとなっている灯はあがらう事が出来ない。
　ただ嬌声を上げるだけ。
　顎から喉元に唇が移動して行く。
　されるがまま喘ぐ灯。
　そして唇は遂に胸元へ。
　白い肌に中にある桜色の突起。
　初めて味わう快感に既に尖っていた。
　チュっというキスを送られた後、今度は濡れた物に含まれ
　る。

「きゃうっ」

　思わずクラウスの頭を抱いてしまう。
　舌で舐められ、時折歯で軽く先端を咬まれる。
　甘い痺れがそこから全身に伝わって行く。
　そして今度はもう片方の突起を吸われる。
　先に舐められていた方は指で捏ねられる。
　唾液の滑りで更に灯を翻弄していく。

「綺麗だ・・・・」

　全身が桜色に染まる。
　その中でいじられていた胸の先端は赤く色づいていた。
　
「だめぇ・・・」

　言わないでと、左右に首を振る。
　舐められた先端が光り、卑猥な光景を強める。
　
「なぜ？　灯の体は何処も綺麗でとても敏感だ。　ほらここ
も」

「やあぁぁっ」

　下肢に這わされていた手が唯一身に纏っていた下着に
　潜り込む。
　灯の欲望はいつの間にか立ち上がり、多くの蜜を零し下
　着を濡らしていた。
　
「こんなに蜜を零して」

「だめ・・・・、言わないでぇ」

　こんな恥ずかしい事を口にしないで欲しかった。
　クラウスに欲望を握られるのも恥ずかしかったが、その事
　によって下着を濡らしてしまった事を気付かれたくなかっ
　たのに。

「恥ずかしがらないで。　私の手で乱れるあなたをもっと見
たい」

「やあぁぁぁ、んん・・・・・」

　扱き上げられた事で一気に駆け上がる。
　それと同時に後ろの蕾も解される。
　初めて他人の手で触れられた欲望。
　こんな甘美な刺激があったとは。
　快楽に溺れていく。

　トロトロとこぼれ落ちる蜜が後ろの蕾を濡らし、その蜜を借
　り始めは回りを触れるだけ、そしてゆっくりと指を挿入して
　いく。
　中を傷つけないよう慎重に。
　灯の反応を見ればこの行為が初めてなのは直ぐに分か
　る。
　蕾はクラウスの指をキツク締め付ける。
　
「やぁ・・・、だめ、きたないの・・・・」

　そんな場所に指を入れられた事に酷く羞恥した。
　クラウスにはそんな事をして欲しくなかったから。

「そんな事はない、あなたはどこも綺麗だ」

　耳元で囁かれ、別な羞恥を覚える。
　クラウスの手は止まる事なく蕾を解していく。

　止まる事にない手に違和感はあったが、前を扱く刺激に
　より相殺されていた。
　
「あ、あ、もう、駄目・・・・・。　ああやぁぁぁ」

　嬌声を上げ、背中を大きく反らしクラウスの手に白濁を吐
　き出す。
　中に入れられた指をキツク締め付けた。

　しどけなく横たわる灯に覆い被さりキスを繰り返す。
　残った互いの下着を取り去り、白くスラリとした足を抱え
　る。
　そして解された蕾にクラウスの逞しい楔がゆっくりと打ち
　込まれて行く。
　
「ぁ、あああっ！」

　突然の強い圧迫に、灯の手が強くシーツを握りしめた。
　なるべく灯を傷つけないよう配慮するクラウスも強い締め
　付けに汗がにじみ出る。
　灯の意識が後ろからそらされるよう、前にも刺激が与えら
　れる。
　
「あっ、や・・・・・、だめぇ」

　イヤイヤと首を左右に振る。
　クラウスは手と腰の動きを止める事なく進めて行く。

「もう少し」

　そう言われ少しして動きが止まる。
　押し込められた腹部が苦しい。

「全部入った」

　涙に濡れた瞳で視線を下に移すとクラウスと繋がっている
　のが分かる。
　
「うそ・・・・・」

こんな場所で繋がるなんて知らない

　素や俊之達に男の恋人がいるのも知っているし、体の関
　係があるのも知っていた。
　しかし、そんな場所を使って繋がる事は知らなかった。
　
「や・・・、お腹、熱い・・・・・」

　そして中にあるクラウスの大きさを感じる。
　圧迫感が修まった事で、灯は腹部に手を当てた。
　そしてクラウスを見る。

「・・・・いっぱい」

「っ！」

　その仕種はまるで煽っているかのよう。
　灯が落ち着くまでと思っていたが、媚態に我慢できず激し
　く動き出す。

「ああああ・・・・っ！」

　明るい室内で白い足がクラウスの律動と同じくゆらゆらと
　揺れる。
　そして大きく張り出した部分で中にある一番敏感な部分を
　擦り上げた。

「んあああっ！！」

　灯の背中が大きく反らされる。
　突然の締め付けにクラウスの顔が顰められる。
　灯の中は初めてらしく、とても狭くキツかった。
　だが一番敏感な部分を突いた事でその反応が変わった。
　キツイだけではなく、蠢くような動き。

「ああっ、だめ・・・・、そこはいやぁぁぁ」

　体がおかしくなってしまう。
　こんな快感は知らない。
　強い快楽に涙を零す。
　こんな強烈な体験をしてこの後自分は一体どうなってしま
　うのか。
　怖かった。

　快感の源を突けば突く程、灯の中は複雑な動きをする。
　こんなに甘美な快楽を感じたのは初めて。
　そして灯も感じてくれている。
　心が通い合ったセックスはこんなに心地良いものだとは。

「愛してる・・・・」

　言葉と同時に自分を、そして灯を追い上げる。
　
「あ、あっ、もう、だ・・・・めぇぇっ！！」

　外と中の刺激に絶えられず、２度目に絶頂を迎えた。
　それに合わせるように、クラウスも熱い情熱を注ぎ込む。

「灯っ！」

　激しい情交に疲労を感じたが、心地よい疲れだった。

愛されている・・・

　それを強く感じた。
　
　

「やぁ――――！　何、何思い出してるの！」

　初めて体を繋げた事まで思い出してしまった。
　ソファーの上で転げ回る。
　自分があんなに乱れるなんて思ってもいなかった。
　初めてなのに、自分の体が信じられなかった。
　自分がいやらしいのか、それともクラウスが上手すぎた
　せいなのか。

どっちもだよね・・・・

　思った瞬間落ち込んでしまった。
　あれから既に何度も体を重ねているが、どんどん敏感に
　なって行く自分が分かる。
　
「嫌われたらどうしよう・・・・・」

　こんなに好きになってしまった。
　もしクラウスと別れるなんて事になったら、生きて行ける
　のだろうか。

無理・・・・

「死んじゃうかも・・・・・」

　膝を抱え丸くなる。
　
「物騒な事を言わないで。　灯にもしもの事があれば私も生
きていられないのだから」

　後ろから大きな腕に包み込まれる。
　突然掛けられてた声と、温かな腕に驚きながらも身を委ね
　る。
　
「クラウス・・・・・・。　お帰りなさい」

「ただいま、灯」

　考え込んでいたせいで、クラウスが帰って来た事に気づか
　なかったようだ。
　毎日交わされるキス。
　何度されても馴れる事のない行為。
　点けられた明かりの下で恥じらう灯はいつまで経っても
　初々しい。
　
「電気が点いてなかったから何かあったのかと思って心配
したよ。　呼んでも返事がなかったし」

「ごめんなさい。　月が綺麗だったから」

　視線を窓の外に向け、夜空を見上げる。
　窓の外は綺麗な星空。
　そして一緒に月も出ている。
　満月ではないが柔らかい光を放っていた。

「ああ、確かに綺麗だ」

　灯の肩を抱き夜空にある月を眺める。

「しかし窓も開けたままで・・・。　ほら、こんなに冷えている」

　灯の体を包み込むクラウスはとても温かかった。
　
「で、何を考えていたのかな」

　ん？と顔を覗き込まれる。
　先程まで思い出していた淫らな行為を思い出し、顔が真っ
　赤に。

「・・・・・何でもない」

　言える訳がない。
　だがクラウスは尚も聞いてくる。

「教えてくれないなら別な方法で聞いてもいいんだよ」

　色気を含んだ声で囁かれ身の危険を感じた灯は素直に
　白状した。
　出会った時の事を。

「その時の事なら私も忘れられないよ。　目の前に理想の
人が現れたのだから。　あの時も美しかったが、今の灯は
私に愛されてより美しくなった」

ドイツ人てこんなに情熱的なの？

　恥ずかしがる事なく言い切ったクラウスに、灯の方が恥
　ずかしくなる。
　事実、灯は愛される事により更に綺麗になった。
　同時に色香もプラスされ、クラウスの心配は益々強くなっ
　た。
　灯が表に出て行く仕事を選ばなくて良かったと心から思
　った。
　　
　共に生きて行く事を決めた二人は一緒に暮らす事にした。
　というか、強引に灯を連れ出したのだ。
　しかし、灯が自身で購入したマンションから離れたくない
　と言ったため、クラウスが灯の元へとやって来た。
　ヤマシタの社長でＳＷの役員であるクラウスが住むには
　狭いだろうし、さほど豪華ではない。
　だがセキュリティーだけはしっかりしていた。

「本当に綺麗になった・・・・」

　呟くように言われた言葉。
　クラウスに言われるのはとても嬉しかった。
　他の誰かが思っていなくてもクラウスだけが思ってくれれ
　ばいい。
　まだまだ生活にはなれないし、内気ではあるが居心地が
　いいように過ごして貰いたい。
　灯が今幸せであるように、クラウスにも幸せでいて欲しい。

　そう思いながら瞳を閉じ、頬を染め恥じらいながら近づい
　て来る唇を受け止めた。