束縛されて
(2)
4万Hits企画






 周りがなんだか騒がしい。
 寝返りを打つ。

ん?

 目を開けると見慣れた自分の部屋。
 エアコンの効いた少し肌寒い部屋で、自分の布団にくるまって寝ていた。
 
「・・・・・夢?」

 枕元の時計を見ると、18時過ぎ。
 外は夕暮れ。

 全部夢だったのか?
 竜也も、楓も今日あった全ての事、人が夢だったのかと思うと寂しいもの
 があった。
 皆が自分を惹き付けた。
 中でも竜也が一番。
  
 ちょっと強引で、何を考えているのか分からない人。
 珊瑚を見る目はとても優しく、そして気遣ってくれた人。
 自分に対する、ギラギラとした欲望を見せなかった人。

「・・・・・夢なのか」

 あの安心感が全部夢なのかと思うと、寂しいものがあった。
 男の自分が何を言ってるんだかと目を閉じる。
 ドアの外に複数の話し声が。
 先ほどの騒がしさは気のせいではなかった。
 この家には、珊瑚一人しかいない筈なのに、何故人の声が。
  
まさか、泥棒!

 ベットから降り、音を立てないようドアをそっと開け覗き見ると、作業着を着
 た複数の男とスーツ姿の男が二人。
 
 部屋の家具、内装が替わっていた。
 唖然と見ていると、別な作業着姿の男が荷物を運び入れ荷ほどきを。

「な、なに・・・・・・?」

 思わず声をだしてしまう。

 その声にスーツ姿の男二人が振り向く。
 一人は運転手。
 もう一人は竜也だった。

「煩かったかい。 ごめんね」

「あ、あ、あ、あんた何やってるんだよ!」

 思わず怒鳴ってしまう。
 言葉遣いも乱暴に。

「何って?」

「人の家を勝手に変えるなよ! ここにあった家具はどうしたんだ? どうし
てここにいるんだ!?」

 怒鳴られているのにも拘わらず、ニコニコとしている竜也。
 隣にいる運転手は苦笑い。

「安心して。 荷物は別な場所に保管してあるから。 あと、僕がここに居る
のは今日からここに住むから。 言っただろ?」

「それはあんたが勝手に言っただけだ。 住むにしても、俺の身体が良くな
るまでなんだし。 家具や内装まで変える必要はないだろ!」

 口をパクパクさせながらも、必死で抗議する。
 そんな珊瑚抗議を軽く受け流し、その場に居た全員に部屋を出て行くよう
 指示をする竜也。

「珊瑚、お腹空いてない?」

「はぁ? 今そんな事関係ないだろう」

「でも、昼から何も食べてないだろ。 お腹空いたんじゃないかと思って。 
丁度食事の用意が出来たから珊瑚を起こそうと思ったんだ。 消化の良い
物をと思って。 中華粥とスープ。 後は杏仁豆腐、マンゴープリンもあるけ
ど」

 聞かされた店の名前は、高級中華店。
 行った事はないが、TVでも良く取り上げられ美味しいと絶賛されている。

 聞いた途端お腹が鳴ってしまう。
 げんきんな自分の腹に怒りを覚えるが、開けられた蓋から漂う香りには
 勝てなかった。
 冷蔵庫から取り出された、ツヤツヤな杏仁豆腐とマンゴープリンに落ち
 た。

「・・・・・食べる」


 食べ終わった後には、珊瑚の怒りは何処かへ行ってしまった。
 部屋の違和感はまだあったが、今までよりも断然くつろげる空間に満足
 していた。
 何より竜也が優しく、甲斐甲斐しく面倒を見てくれる。
 そして、家の中に自分以外の人の気配が嬉しい。
 家族が居なくて楽だとは思ったが、実は寂しかったのだと気付く。
 
 竜也の入れてくれたジャスミンティーを飲んでくつろいでいると「お風呂の
 用意が出来たよ」と呼びに来た。

 体調は優れなかったが、汗ばんだまま寝るのは我慢出来ない。
 軽くシャワーだけでも浴びようと立ち上がる。
 すると竜也が近づいてきて、当たり前のように珊瑚を抱き上げる。

「ちょっ、何?」

「僕が連れて行ってあげるよ。 今日の珊瑚は何もしなくていいよ」

 冗談ではない。
 いくら体調が悪くてもそのくらいは自分でも出来るし、今までしてきた。
 いくら見かけがひ弱で、女らしいといっても自分は男だ。
 男としてのプライドがある。

「馬鹿にするなよ!」

 珊瑚の激高に驚きの顔を浮かべる竜也。
 
「こんな顔かもしれないけど、俺は男なんだ。 一人暮らしはまだ半年だけ
ど、俺は一人でやってきた。 具合が悪くても自分でやってきたんだ。 そ
れを否定するような事はするな!」

 無言で見つめ合う二人。
 竜也は珊瑚を抱いたままソファーに座る。

「そんなつもりは全くなかったんだ・・・」

 少し寂しそうな声。
 
「兄弟がいたらこんな感じかな・・・・。 いろいろしてあげたいなってずっと思
ってたんだ。 珊瑚は兄弟じゃないけど・・・・・」

一人っ子なのか。

 兄弟のいる珊瑚にはにぎやかな毎日は当たり前の事。
 「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と家にいる時にはまとわり付いて煩いと思う事
 もあるが、可愛い双子の弟を思い出す。
 自分も色々と世話を焼いていた事などを。

 竜也にしてみてもそういった事なのかと、反省した。
 ただ、自分がある程度年齢が行って、兄がおらず弟の立場になった事が
 ないので気付かなかった。

 年上の竜也からしてみたら、自分は弟達と同じなのだろう。
 年上の竜也に対し、失礼な事を言ってしまったと反省。

「怒鳴ってごめんなさい。 折角だから連れて行ってくれますか?」

 根が素直で優しい珊瑚は、またもや竜也に騙されていた。
 竜也は珊瑚をバスルームまで連れて行き、その場を離れた。

 服を脱ぎ、浴室に入る。
 目の前の鏡を見ると、肌が出ていた所が日に焼けて
 赤くなっていた。
 少し温めのお湯をかけると痛みが。

「やっぱり外に出るんじゃなかった」

 呟きさらにお湯の温度を下げる。
 
「珊瑚大丈夫?」
 
 ドアに竜也の姿が映る。

「あ、はい。 大丈夫です」

 その声が聞こえなかったのか「珊瑚?」と言いながら竜也がバスルーム
 のドアを開けた。

「バカ、入るな!」

 慌てて閉めようとするが間に合わず、竜也が服を着たまま入って来た。



「ああ、やっぱり・・・・・ 痛そうだね」

 焦る珊瑚をものともせず、赤くなっている肌を痛そうに見つめていた。

「ほら、座って」

 珊瑚をイスに座らせ、手に持っていたボトルの中身を手に零し、珊瑚の肌
 に。

「ひゃっ!」

 冷たいのと、竜也の手に声を上げてしまう。

「な、やだ」

 竜也の手から逃れようと身体を捻る。

「大人しくして。 こんなに綺麗な肌が赤くなって。 安心して、薬用石鹸だ
から。 刺激もないから痛くはないよ。 でもタオルとかに付けて身体を洗う
と痛いから手で洗った方がいいんだよ」

 珊瑚を無視しながら洗って行く。
 慌てて前の部分は、手の届くところに置いていたタオルで隠す。
 服が濡れるのにも拘わらず洗って行く。
 首、手背中と前に移動し足の指も一本一本丁寧に。
 労るようなその動き。 
 
  だからすっかり安心していた。

「・・・・・立って」

 言われ、前を隠したまま素直に立ち上がる。
 竜也は後ろに回り込み今度は胸を洗い始める。
 洗う手は同様に優しいもの。
 しかし、珊瑚の右胸の先端を通過するときに、カリッと爪が引っかかった。

 思わず身体がビクリとなる。

なに・・・・

「どうしたの?」

 珊瑚の動きに気付き訪ねてくる。

「・・・・・なんでも」

「そう・・・・・」

 続けて左胸を手が通過する時、おなじく爪が先端を引っ掻いて行く。

「あっ」

 思わず声が出てしまう。
 一体どうしてしまったのか。
 視線をずらすと乳首が二つとも立ち上がっていた。
 ワザとなのかと思うが、竜也の手は変わらず労るような動き。
 疑ってしまった事を恥じる。

 それにしても、自分の身体は一体どうしてしまったのだろう。
 普通に洗って貰っているだけなのに。

 そう思い始めると気になってしかたない。
 何処もかしこも敏感になって行く。

「ん・・・・・・」

「どうしたの」

「なんでもない。 もういいです、有難うございました。 あとは自分で出来
ます・・・・」

 前まで反応してきてしまっている。
 竜也は普通に身体を洗っているだけなのに。
 こんな事を知られる前に早く出て行って欲しかった。

「まだ、洗い終わってないよ?」

「本当にもういいです!」

 後ろ手で押しのけようとする。

「なんで?」

 口調が変わる。
 覆い被さるように、耳元で囁く。
 そしてタオルで隠していた部分をそっと握られる。

「あっ・・・・」

「こんなになってるのに?」

 耳を嘗め、タオルの上から立ち上がりかけている幹を揉み、片手で尖った
 乳首を摘む。

「・・・・・やっ・・・・ん・・・・」

 竜也は服が濡れるのも構わず全身に手を這わして行く。
 他人から与えられる愛撫に珊瑚はたわいもなく落ちて行った。
 前を覆っていたタオルは外れ、珊瑚は目の前の鏡に両手を付き身体を支
 えていた。
 腰を突き出すような恥ずかしい体勢に全く気付いていない。
 
 幹を扱かれ、乳首を指で転がされ、珊瑚はあっという間に先端から蜜をは
 き出ししてしまう。

「やぁぁぁ・・・・・」

 あまりの快感に崩れ落るが、竜也が支えていたお陰で床にそっと座らせら
 れた。
 放心している珊瑚の目の前で、竜也は服を脱ぎ始める。

 日に焼けた逞しい身体。
 そして中心には、同じく逞しい雄が育っていた。

 そして床に座り上に珊瑚を座らせる。
 放心している珊瑚はされるがまま。
 上を向かされ口づけを受ける。
  
 唇の間だから入って来た舌は、珊瑚の口腔内を舐め尽くす。
 絡められ、吸われ。
 
 穏やかで、爽やかな竜也からは想像できない激しいもの。
 
 最奥の部分に指が触れる。
 ヒダをなぞる動き。
 何だかむずがゆい。
 思わず腰が揺れてしまう。
 その揺れで、珊瑚の雄と竜也の雄が擦れあう。

 珊瑚の息が上がる。

「・・・・・ん・・・やぁ・・・・」

 そして石鹸の滑りを借り指が中へと。
 違和感に顔をしかめるが、前の刺激に押しやられる。
 そして、指が一本、又一本と増やされる。
 
 クチュクチュという音に羞恥が高まるが、途端身体に痺れが走り、口づけ
 が離れる。
 珊瑚は竜也の首にしがみつく。

「ああ・・・・やぁ・・・・・っ・・・・・・」

 もう何も考えられない。
 早く何とかして欲しい。

「ここ・・・・いい?」

 竜也の言葉に霧中で頷く。

「好き?」

「・・・・・・・き・・・・」

「ん?」

「・・・・・・す・・・き・・・」
 
「もっと良くなりたい?」

「して・・・・・・っ・・・・・」

「好きだよ珊瑚。 これからはずっと一緒だよ・・・・・」

 言って軽くキスをし、珊瑚の身体を持ち上げ、竜也の雄の上にあてがう。
 そしてゆっくりと落として行った。

「ああああっ!」

 圧迫感に仰け反る珊瑚。
 その首筋に竜也がキツク吸い付く。

「・・・・・きつ・・・」

 押し入る壁の狭さに顔をしかめながらも、傷を付けないようにゆっくりと進
 めて行く。

 最後まで押し入れた後、珊瑚の息が整うのを待つ。
 少し置くと中がうねり始め、竜也の雄を絡める。

「やだ・・・・・・・っ・・・・」

「凄くいいよ・・・・」

 我慢の出来なくなった竜也が腰を動かし始める。
 ゆっくり大きく、時には小刻みに。

 その動きに翻弄され、溺れて行った・・・・・

 風呂場で事に及んだ後、丁寧に洗われていたのだが、途中竜也が珊瑚
 の色気に煽られまたその場で致してしまった。

 もう一度洗われ、今度はベットで。
 最初の2回までは覚えているのだが、その後は記憶にない。
 そして気が付いたら朝だった。
  
 目が覚めた時竜也の顔が。
 もの凄く驚いたが、昨日の自分を思い出し一人真っ赤に。
 身体は綺麗に清められ、パジャマを着せられていた。
 珊瑚の物ではない。
 しかも着ているのは上だけだった。
 間近で見る竜也の顔は本当に整っている。
 ただ、坊主なのが・・・・

 そこで、ハタッと気付いた。
 いやに肌が若い。
 スーツを着ていないと、少し若く見える。
 一体幾つなのか。
 知っているのは、名前だけ。

 それなのに、熱い一夜を交わしてしまった。
 まさか自分がこんな事になるとは。
 突然竜也が目をさました。

「お早う珊瑚。 今日も綺麗だね」

 チュッとキスをしてきた。

「お、お前!」

「竜也。 昨日あれだけ教えたのに・・・・・」

 ボン、と音が出るのではと思うくらい真っ赤に。

「身体大丈夫? 具合が悪いからと思ったんだけど、珊瑚の身体良すぎ
て。 初めてなのに無理させてごめんね」

「バカッ! あつっ・・・・・」

 殴ろうとしたが、酷使された体にはその動きはきつかった。
 腰に手を当て蹲る。

「大丈夫!?」

 オロオロとする竜也に、ちょっと胸がすっとなった。
 
 

 結局その日、月曜と次の火曜は学校に行く事が出来なかった。
 竜也も当然のように珊瑚に付き添い、甲斐甲斐しく世話をしていた。
 
 そして、当然のようにキスをしていた。
 初めは嫌がっていたが、今更と思い直しされるがまま。

いいのか俺?

 自問自答。
 しかし、自分は竜也に惹かれているのも事実。
 
じゃなきゃあんな事しないって・・・・・・・

 そして水曜、身体が動くようになり朝制服を着てリビングに行くと、竜也
 が朝食の用意をしていた。

「もう一日くらい休んだ方がいいと思うけど」

「それは誰のせい?」

「僕・・・・かな?」

 少し睨んで、用意された食事を片付けていく。
 トースト・サラダ・スクランブルエッグと簡単な物だったが美味しかった。
 カバンを持って玄関に行く。

「待って珊瑚、僕も一緒に行く」

 そう言えば竜也は珊瑚につき合って2日も休んだが会社の方は大丈夫
 だったのだろうか。
 思っていると竜也がカバンを持って来た。

「なっ!!!」

 竜也の姿を見て衝撃を受けた。

「なんでそんな格好なんだよ!」

「え、なにが?」

「それ制服じゃないか! しかも鳳学園!」

 竜也の着ているのは、都内にある私立の有名進学校の制服。
 男子校で政財界の子息達が多く通う学校だ。
 自分に指を差す珊瑚を不思議に思い、自分の姿を眺める竜也。

「だって、僕高校生だから」

「なに――――――!?」

「改めて自己紹介を。 鳳学園2年、剣竜也。 珊瑚と同じ17歳。 頭が坊
主なのは野球部だから」
 
 ニッコリ爽やかに微笑む竜也。
 もしかしたら若いのかもと思ったが、まさか自分と同じ年とは。
 野球部と聞けば頭が坊主なのは納得だ。

でも・・・・・・・

 思わず玄関に倒れ込んだ珊瑚だった。

「大丈夫? 珊瑚しっかりして!」

 慌てて珊瑚を抱き上げ、寝室へ向かう竜也だった。





 
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