流される日常
(1)

40000Getされたyo-yo様より
「運命の人」足掻きながらも馴染んでいく拓巳の新婚生活






 時計を見るとPM7:00。

そろそろか・・・・・




 不本意な結婚披露パーティーから早一週間。
 
「結婚式の後は新婚旅行に行くのが普通でしょ。 一般常識
じゃないですか!」

 散々ごねる良太郎。
 騙し討ちで結婚披露パーティー。
 養子縁組までされたのに、何故新婚旅行なんぞに行かなく
 てはならないのか。
 他の事はもう終わってしまったから仕方ないが、旅行はこ
 れから。

断固拒否だ!
脅されようが、ごねられようが誰が譲るものか。

 それでなくても、結婚披露パーティー後の出勤日には情け
 ないやら、腹が立つやら。
 本当に複雑だった。




 ホテルで一泊した後、勝手に決められた新居に行くと唖然
 となった。
 確か仮住まいと言っていた筈。
 それなのにその新居は豪華だった。
 新築高層マンションの最上階。
 そのフロアーに部屋は二つだけ。
 もう一つの部屋には既に人が住んでいた。
 
 部屋の作りは無駄に広い4LDK。
 リビングとダイニング合わせて30畳くらいだろうか。
 その他の部屋も10畳くらい。
 一つは良太郎の仕事部屋。
 もう一つは拓巳の部屋。
 残りは書斎と寝室。
 当然ベットは一つしかなく、サイズはキングサイズのよう
 だ。
 
 流されたと言うか絆されてしまったというか、良太郎と寝て
 しまった。
 夫夫になってしまったから仕方ないと早々に諦めてしまっ
 たのが悪かったのだろうか?
 
 寝室のベットを見た良太郎はご機嫌そのもの。
 
「これだけ大きければどんなに激しくっても大丈夫。 あんな
事やこんな事だって・・・・」

 何を考えているのか。
 甘い顔立ちで誰もが見惚れる容姿。
 それが今は崩れきっている。
 スケベオヤジのようだ。

 そんな良太郎も無視し、拓巳はキッチンへ。
 最新設備のキッチンには大型冷蔵庫が備え付けられてい
 た。
 自分の家とは言われたが、周りの全ては見知らぬ物。
 他人の家のようで実感が湧かない。
 しかしこの家は確実に、これから暮らす拓巳の家。
 拓巳の部屋と言われた場所には、確かに拓巳の物が、実
 家で使っていた物、置いていた物があった。

慣れるしかない・・・・・

 ため息を吐き、思い切って冷蔵庫を開ける。
 
 中には色々な食材が詰め込まれていた。
 見るからに高級そうな食材。
 買って間もないと思われる新鮮な野菜。
 白い布らしき物に包まれた塊。
 開けて見るととても高そうな肉。
 綺麗な霜降りの肉だ。
 
 料理人を父に持つ拓巳。
 その料理人の血が騒ぐ。
 頭の中では、この肉を使いどういう料理を作ろうかと真剣
 に考える。

 一端冷蔵庫を閉め、調味料を確認。
 戸棚を開けるとおびただしい数の調味料が。
 拓巳は料理をするから、この数々の調味料は有り難いが
 もし、自分が料理できなかったらどうするのだろう。
 疑問だ。
 これだけでも事足りるのだが、やはり足りない物がある。
 生のハーブ。
 ドライハーブもいいのだが、やはり生の物も欲しい。
 幸いにも部屋は広い。
 これだけ広ければ、部屋の片隅でハーブを栽培しても邪
 魔にはならないだろう。
 日当たりのいいベランダでは野菜を作ろう。
 何だか楽しくなってきた。

 別な棚を見ると紅茶の缶とティーサーバーが目に入った。
 まだ開けられていない缶を開けると、紅茶の良い香りが。
 夕食を作る前に一息入れる事にした。
 コンロの上に置かれていた新しいヤカンに水を入れ火に掛
 けた。
 お湯が沸いた頃、妄想に浸っていた良太郎が寝室から戻
 って来た。
 先程のスケベオヤジな顔ではなく、甘い顔のいい男。

「何してるんですか?」

「・・・・・茶だ。 飲むか?」

 既にカップは2つ用意してあるのだが、何となく照れくさい。
 素っ気なく、顔を背けたまま聞く。
 返事がないので、おかしいと視線を向けると、何やら感動
 している良太郎が。

「おい?」

「嬉しいです! 拓巳さんが俺の為に手ずからお茶を入れて
くれるなんて・・・・・。 感激です!」

 言って拓巳にのし掛かって来た。

「うわっ。 おい!」

 二日続けて、しかも二日目は明け方までやっていただけに
 体に力が入らない。

「このケダモノが―――――!」

 叫ぶ拓巳。

 それでも良太郎の手は止まらなかった。



 
 
 
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