2周年企画

眼鏡を買おう!
(9)





『じゃあね、フィル小父さん。 また連絡するね』

 車まで見送りに来たフィルマンに別れの言葉を言う。
 名残惜しそうなフィルマンに申し訳なく思う。

『仕方ない。 若菜もこんなジジイより恋人の方がいいだろう
からな』

 いい年をして拗ねるフィルマンに苦笑する。
 後ろではベルモンドは、主人の大人げなさに溜息を吐いてい
 る。

 そんなフィルマンに対し、若菜が笑いながら『そうなの。 ご
 めんね』と言うものだから更に落ち込んでいた。

 貴章に至っては顔には出ていないが、若菜がなによりも自分
 を一番に考えてくれていることで回りを柔らなな雰囲気が囲
 っている。

『は〜、若菜が大人になって行く・・・・・。 それもそうだな・・・」
 
 一人ブツブツ言っていた。

『兎に角、今回は若菜に会えてよかった。 理想のモデルにも
会えたし。 出来上がったら連絡するから、楽しみにしていな
さい』

『うん!』

『それでは失礼します。 眼鏡の件、有り難うございました』

 貴章が礼を言う。
 今回フィルマンに出会えた事はラッキーだった。
 どんなに駆使しても出会えなかった人物。
 出来る事ならこのチャンスを生かしたかったが、貴章は敢え
 てそれを口にはしなかった。
 仕事と若菜の事は全く別の事だから。
 自分に実力を付ければ、必ず彼と出会う事が出来るのだ。
 
 フィルマン自身、自分の力の事はよく分かっている。
 滅多に表に出ない自分に、様々な手を使って接触を図ってく
 る。
 聞けばこの若菜の恋人もダリューと取引がある事が分かっ
 た。
 どう出るか楽しみだった。

 だが最後の最後までアプローチを掛けてくる事なく、若菜の
 事だけで終わった。
 楽しみにしていただけにガッカリした。

 しかし、貴章の目には力が漲っていた。
 こんな事ではなく、自分の実力でフィルマンに会ってみせる
 という意思が見てとれた。
 暗い瞳だったが、こんな目も出来る事に楽しみを憶えた。
 だから『何かあったら遠慮なく言ってきなさい』と言い連絡先
 を書いた紙を渡した。
 若菜の恋人だからというわけでなく、貴章自身に興味を持っ
 たから。

 貴章にもそれが伝わった。 ありがたく連絡先を受け取った。
 二人車に乗り込む。 中から挨拶をし、その場を後にした。

 貴章の部屋へ入ると若菜は強い力で腕を引かれた。

「あっ・・・・」

 激しい口づけを受ける。 
 貴章の胸の内を表すような激しいもの。
 絡められる舌が熱い。
 きつく吸い上げられるが、それも刺激となり若菜の体を熱くす
 る。
 
「ん・・・・・・・あふっ・・・・・・」

 夢中になっていた。

「あんっ・・・!」

 下肢から甘いしびれが伝わってくる。
 貴章が足で若菜の股間を刺激し始めたから。
 熱が溜まっていく。

「んぁ・・・・やぁ・・・・」

 時折漏れる声。
 若菜の唇を散々貪ったのと、その甘い声に貴章の荒れた心
 に落ち着きが戻っていった。
 口づけを今度は耳へと持っていく。
 柔らかな耳たぶを軽く咬み舐め上げる。
 
 下肢からだけでなく耳からの刺激で若菜の体が燃え上がる。
 触られてもいないのに乳首が立ち、シャツにあたり擦れ更に
 体を高めて行く。

「あ、だめ・・・っ」

 若菜の体から力が抜けていき、立つ事も苦しくなっていた。
 ガクンと膝が落ちる。
 それをすかさず貴章が留め抱き上げた。
 顔は上気しており、瞳は快感に潤んでいる。
 匂い立つような色香。
 すっかり華開いた若菜に貴章の雄が刺激される。

 抱き上げたまま、貴章が寝室へと運ぶ。
 いつになく乱暴にベットに下ろされた。
 見下ろす貴章が雄々しい。
 強く求められている事を感じ、体に甘い震えが走る。

 だが、貴章は見詰めるだけで先へ進もうとしない。
 
・・・・なんで?

 体の中にこもった熱を何とかして欲しい。
 そしてもっと、体も心も熱くして欲しいのに。

 潤んだ瞳で貴章の名を呼ぶ。
 貴章の瞳は燃えているのに、声は落ち着いていた。

「さあ、お仕置きだ」

「・・・・え?」

「自分で服を脱ぎなさい」

 若菜の顔が羞恥で赤くなる。
 体を繋げる時、服はいつの間にか貴章に脱がされていた。
 自分で脱いだ事は今まで一度もなかった。
 貴章の手で高められているうちの出来事だから羞恥心は
 なかった。
 今も快感はあるが、意識は保ったまま。

 知らぬ内に縋るような目で見ていたが、貴章は許さなかった。
 体にある快感と羞恥で手が震え、貴章の強い視線を受けなが
 らボタンを外すが、なかなか外せない。
 
 全て外し終わり、上を脱ぎ上半身を晒す。
 貴章を見ると「下も脱ぎなさい」と。

 服で隠れてはいるが、既に若菜の中心は立ち上がっていた。
 それを自らの手で貴章の前に晒さなくては行けないのかと思
 うとどうしても躊躇われる。

「早くしなさい」

 やはり貴章は許してくれそうもない。
 目を閉じ、意を決して下着ごとズボンを下ろした。
 
「良くできた」

 言って貴章が若菜の中心に手を掛ける。
 今までとは違い欲望から直接送られて来る快感。

「んぁ・・・・・」

 貴章の手が上下に動き出す。
 その度にクチュクチュという音が大きくなっていく。

「ああっ・・・・・きもち・・・い・・・・・っ・・・、ああっ!」

 既に尖っている乳首を含まれる。
 唇で吸い上げられ舌で転がされる。
 上下から来る快感に若菜の体が身もだえる。

 今度は反対側の胸を吸われ、もう片方の唾液に濡れた乳首
 は指で擦られる。
 
「やあっ! あああぁぁ・・・・・・だめぇ・・・」

 言葉では否定しているが、若菜の腕はもっとというように貴章
 の頭を抱え押しつけていた。
 強く吸い、更に手の動きを早めて行く。

「あ、だめ・・・・・イッちゃう・・・・・あ・・・ん・・・・」

 あと少しという所で貴章の手が止まった。

「やぁ・・・・やめないで・・・・」

 快感で瞳が潤み、全身がピンクに染まっている。
 吸い付くようなきめ細かい肌。
 乳首は唾液に濡れ妖しく光、中心からは蜜が零れている。
 匂い立つような色香。
 直ぐさま若菜の蕾に己の雄を突き立ててしまいたいという欲
 望に駆られる。
 だが貴章はそれを押しとどめ、若菜に更なる言葉を言う。

「続けて欲しければ、俯せになって腰を高く上げなさい」

 自ら貴章にお尻を向けるなど出来ない。
 だが熱を早く吐き出したい。
 知らぬ間に手が下へと伸ばされる。

「自分で触るのは許さない」

そんな・・・・・

 すると貴章が耳元で「さあ、早くしなさい。 若菜の好きな所を
 沢山触ってあげよう」と囁いてきた。
 欲情のこもった艶のある声に犯され、若菜は貴章に従った。

 貴章の前に晒される秘孔。
 意識していないのにヒクついているのが分かる。
 なんて厭らしいのだろう。
 だがそれを押さえる事が出来ない。
 若菜の体が更に羞恥で赤く染まる。

 温かい風が吹いたを思った直ぐ後、温かく濡れた物がそこを
 濡らした。

「あん・・・」

 思わず声が漏れてしまった。
 
「な・・・・・やっ・・・・それ、だめ・・・・」

 貴章が舐めた事に直ぐさま気付いた。
 余すところなく体を見られ、触られているがこの行為だけはど
 うにも受け入れがたい。
 逃げ出そうとするが、貴章が手でガッチリと腰を掴んでいる為
 にそれは適わなかった。

 ピチャピチャという音が若菜の羞恥を煽る。

「いやぁ・・・・・だめ・・・・・ぇ・・・・」

 言うが貴章は止めてくれない。
 それどころか舌を奥まで入れて来た。

「やぁ! だめっ!」

「大人しくしなさい。 ああ、良い具合に綻んで来た」

 言って指を入れて来た。

「きゃうっ・・・!」

 背中が仰け反る。
 唾液に濡れている為に指の出し入れがスムーズになってい
 る。
 一本が二本へとなり三本へ。

「あっ、あっ、あああっ!」

 指が若菜の良いところへと当たった。
 前からはポタポタと透明な蜜が溢れている。

「ああ・・・も・・・・だめ・・・・・」

「ああ、キツイな」

 我慢が出来なくなった体が更なる快感を貴章に求めていた。
 
「どうして欲しい・・・・」

 指の動きが早くなる。
 同時に前も扱かれる。

「あああぁぁぁ・・・」

「言いなさい」

 若菜はシーツを強く握りしめる。
 
「さあ」

「あああぁぁぁ・・・・イかせてぇ・・・・・」

 我慢が出来なくなり若菜が強請る。
 なのに貴章は更なる言葉を若菜に求めた。

「どうやってイかせて欲しい・・・・・。 言えば直ぐにでも願いを叶
えよう。 さあ・・・・」

「いれて・・・・、貴章さんの・・・・・いれてぇ・・・・きゃう・・・!」

 望んだ言葉を口にした瞬間、若菜の蕾に貴章の雄が突き入
 れられた。
 望んだ物が入って来た瞬間、若菜の前が弾けた。

「ああああぁぁっ・・・・!」

 貴章が激しく動く。
 そして若菜の良い所だけを狙って。
 その為に、一度弾けたにも拘わらず若菜の前が立ち上がる。
 後ろはもっと、というように貴章の雄に絡み付く。
 
 熱く絡んでくる秘孔に貴章の雄が大きくなる。

「ああっ・・・・だめぇ・・・・おっきく・・し・・・ないで・・・・ああ!」

「くっ・・・。 煽るな」

 言葉とキツク締まる秘孔に貴章が顔を顰める。
 油断すると若菜に持って行かれそうになるのだ。

「あっ、あっ、いい・・・・・きもち・・・・い・・・」

 貴章の腰の動きに会わせ、若菜の腰を知らぬ間に動いてい
 た。
 その動きが貴章に刺激を与える。

「私もだ・・・・」

 腰を動かすたびに、グチュグチュという濡れた音が部屋へ響
 く。
 
「あん・・・・ほ・・・・・ん・・と・・・・・・・?」

「ああ」

 言葉と体に貴章は溺れた。
 そして若菜も。

「好き・・・だいすき!」

「愛してる・・・・・」

「あああ、イく・・・・イッちゃう!」

「ああ、私もだ・・・・」

「ああああああ――――っ!」

「くっ・・・・!」

 若菜の中心から蜜が勢いよく溢れた。
 そして同時に貴章も達したらしく、若菜の中が熱く潤った。
 息が乱れているが、二人は体を繋げたまま唇を重ねる。
 
 そして又互いの体が熱くなり行為を重ねる。

 何度貫かれたか分からない。
 何度中にはき出したか分からない。
 どこまでが自分で、どこからが貴章なのか分からない位溶け
 合った。

 心も体も満たされる。
 それは二人とも同じであった・・・・・
 

 そして翌日。
 心も体も満たされた若菜だったが、昨夜の行為が激しすぎて
 動けずベットの住人となり学校を休んだ。
 貴章は仕事がある為に出勤し、昼には一旦帰ると言って部屋
 を後にした。
 寂しくはあったが、貴章の匂いがするベットにいると貴章に包
 まれている気がして嬉しかった。
 そして、昨日の行為を思い出していた。

昨日の貴章さん、すごかった・・・・・

 ポッと顔を赤らめる。
 いつもは無口な貴章が昨日はいろんな言葉を口にした。
 その時、ふと思い出した。

そういえば、珊瑚が何か言ってたっけ

 以前綾瀬の家でおこなった飲み会。
 珊瑚の恋人竜也が、その日仕事で韓国に行っていなかった
 事と貴章もイタリアへ行って日本にいなかった事もあって、有
 樹も入れたいつもの四人で綾瀬の家に泊まる事になったの
 だ。
 何故か飲み会になって、若菜以外が酔っぱらい。
 その時恋人の話になって、何でかエッチの話しになって・・・・

「あいつは鬼畜だ。 人に女装はさせるし、その格好でやるんだ
! 変態だ!」

「嘘!」
「やだ〜」
「そんな風に見えない・・・・」

って言ってみんなで非難して、その後「人に色んな事言わせる
し、言わないと意地悪するんだ。 それにあいつ自身が色々言
って来るんだ。 ここがいい?とかっ言って。 どこのエロ親爺
だっつうの!」

 酔ってキレていたから言える言葉に違いない。
 しらふな状態なら、まず珊瑚はそんな事は言わないから。
 
でも竜也くんて、そんな人だったんだ〜
人は見かけに寄らないっていうか、明日から見る目変わるな・・


 綾瀬や有樹も興奮して何だか色々言っていたのを思い出す。
 その時の若菜の目が、爛々と輝いていたのを誰も知らない。
 翌日、若菜を抜かした三人が動く事が出来なかったのは言う
 までもない。

あの時珊瑚なんて言ってたっけ・・・・
う〜〜〜〜ん・・・・・・
!!!

 思い出した若菜。

言葉責めだ!『言葉責めよ、羞恥プレイかよって・・・・。 マジで
泣いたね』って言ってた!
いや〜〜んvv
 
 卑猥な言葉の響きに、若菜が一人身もだえていた。
 こんな若菜を見たら貴章がなんと思うか。

 そんな事をしているうちに、昨日の疲れが出てきていつの間
 にか眠っていた。

 昼になり、朝言った通り貴章が一旦戻って来た。
 部屋の中が静まりかえっている。
 足音を忍ばせそっと寝室の扉を開ける。
 そこには朝と同じよう若菜の姿があった。

 うっすらと微笑みを浮かべ寝ている。
 一体どんな楽しい夢を見ているのだろう。
 この柔らかい笑みに貴章は癒される。

 若菜の行動にはいつも振り回されるが、それも楽しいと思う。
 
 兎に角、眼鏡が出来上がってよかった。
 頬にキスを落とし部屋を出る。
 若菜の為に食事を作ろう。
 愛する者の為に・・・・・





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