獲物(2)

キリ番30003をGetされたyo-yo様からのリク
恋は盲目」の置いてきぼりを食らわされた、情けない恭夜のお話





 今までとは違う意識のある叫び声。
 見ると獲物が目を覚まし、大きく目を見開いていた。
 自分の置かれている状況が掴めない。
 そんな顔。
 視線を下にずらし、己の身に起こっている事を知る。
 全裸で絡み合い、自分の身体に突き刺さる同じ性の物。
 必死に暴れ始めるが、恭夜にとってそれを押さえ込む事は
 造作もない。
 脅えた目がそこで初めて恭夜を捕らえた。
 信じられないと語る瞳。

この目だ・・・・・

 恐怖と、脅えがありありと伺えるがどうでもいい。
 捕らえた瞳が、自分だけを映している。
 それだけで心が恍惚となる。
 
「もっと俺を見ろ。 俺だけを見ろ」

 獲物の目が見開かれる。

そうだ俺だけを見ろ・・・・・

 そして恭夜は獲物を蹂躙する。
 始めはきつかった内壁。
 獲物も泣き、叫び許しを請うが、痛みの為に萎えた物をゆ
 っくり扱きあげ、もっとも感じる一点を恭夜の雄で擦られ乱
 れた。
 絡み付く内壁とその熱さに、恭夜は溺れた。
 何度放っても、恭夜の雄は静まらなかった。
 意識が朦朧とした獲物に快感と言葉を覚えさせた。
 自分の上に乗せ動く事も覚えさせた。
 欲情に濡れた瞳が恭夜を煽る。
 
「ほら言わないと欲しい物が手に入らないぞ」

「ああ・・・・動いて・・・・」
「・・・ん・・・・いい・・・・・・もっと・・・・・」

 自分の下で喘ぐ獲物は淫らだった。
 恭夜の腰に足を絡め、己の腰を動かす。
 
「厭らしいな・・・・・・」

「・・・・やぁ・・・・」

 なんて貪欲な身体。
 嫌悪感は全くなかった。

「もっと俺をほしがれ。 もっと・・・・・」

「あ・・・・いぃ・・・・」

 全てを奪い尽くしたかった。
 全てを与えたかった。
 
 最後の解放に向かい、激しく腰を律動させた。

「ああああぁ―――――!」
 
 甲高い嬌声。
 そして獲物は意識を失った。
 汗に濡れた髪を優しく梳かす。
 今までにない、心と体の充実感が恭夜を包んでいた。
 信じられなかった。
 一生味わうことは無いだろうと思ったこの気持ち。
 
 意識を失った獲物を抱き上げ浴槽へ。
 汗と涙と精液で汚れた身体を丁寧に、壊れ物を扱う様な手
 つきで綺麗に洗った。
 獲物の身体の中にタップリと注ぎ込んだ、己の物を掻きだ
 す。
 身体が一瞬ピクリとなったが、瞳は開く事はなかった。
 綺麗なタオルで身体を拭き、ベットへ。
 グッタリとなった獲物を見て「やりすぎた」とは思ったが止ま
 らなかった。
 想像以上だった。
 疲れた自分も休むべく、獲物を抱え込んで眠りに落ちた。

 どのくらいたったであろうか、苦しそうな息づかいが。
 見ると獲物が顔を真っ赤にし、息を荒げていた。
 額に手を当てるとかなり熱かった。

「チッ!」

 無理をさせた為に発熱してしまっていたのだ。
 脱ぎ散らかした服を着、獲物の服も整える。
 冷蔵庫に入っていたスポーツドリンクを口に含み、獲物に
 飲ませる。
 喉が渇いていたのか、それを飲み込み息をついた。
 瞳がゆっくりと開かれる。
 熱で潤んだ瞳は扇情的だったが、恭夜の姿を認めると脅
 えが走った。
 そんな瞳が見たい訳ではなかったがそれもしかたないだろ
 う。
 手を伸ばすとあからさまに身体が脅えていた。
 しかし、この獲物を手放す気は全くない。
 だから・・・・・・

「お前は俺のもんだ、逃がさないからな。もし逃げても必ず捕
まえる。 必ずだ。」

 半ば脅すような言い方になってしまった。
 発熱している身体をどうにかしないといけない。
 誰かに頼るのは不本意だが、仕方ない。
 獲物を抱き上げホテルを出る。
 腕の中の獲物は大人しかった。
 高熱のせいではあるが、嬉しかった。
 外でタクシーを拾い、自分の両親の経営する病院の名前を
 告げた。
 
確か当直だった筈。

 自分の病院で働く、年上の知人を思い出す。
 どこか食えない医師ではあるが、まだ信頼がおける筈。
 目的地に着くとタクシーに金を払い、動けない稔を抱きか
 かえ中に。
 朝の8時半だというのに、待合いロビーには、かなりな数
 の患者が既に待っていた。
 舌打ちをし「ここで待ってろ」と言い獲物を椅子に下ろす。
 近くにいた看護士を呼び止め「当直で外科の一ノ瀬先生は
 何処にいる」と聞く。
 「先ほど食堂に行くのを見かけました」と言われ食堂へ。
 言われた通り、一ノ瀬の姿が。
 滅多な事で病院には近寄らない恭夜の姿に、少し目を見
 張ったが、直ぐに人を喰ったたような顔に。

「よう、はみ出しモン。 珍しいな」

 そんな一ノ瀬を無視し言いたい事だけをサッサと言う。

「見て貰いたい奴がいる」

 少し楽しそうな顔の一ノ瀬。

「もうすぐ診療が始まるのに、待てないって事はかなり大事な
人ですか。 お前にね・・・・・」

 恭夜の態度が苛立ちげに。

「・・・・・・・・・・」

「まあ、いいだろう。 お前を夢中にした相手を拝みに行きま
すか」

 立ち上がり、飲んでいた自動販売機のコーヒーの紙コップ
 を捨て、恭夜の後へ続く。
 時間にして約10分。
 待合室には獲物の姿がなかった。
 獲物の座っていた席の隣の老人に「ここに座っていた若い
 男は何処へ行った」と聞くと、「あんたがいなくなって直ぐに
 出て行ったよ。 あんなに赤い顔でフラフラして」と心配そう
 に言われた。
 その言葉を聞いた瞬間、恭夜の顔は恐ろしいものへと変わ
 った。
 話していた老人が「ひぃ!」と脅えるくらい。

「お前な・・・・大丈夫ですよ。 来い」

 隣にいた一ノ瀬が老人に謝り、恭夜の腕を掴みその場を離
 れる。
 
「お前みたいな、奴に睨まれたら心臓の弱い老人なんかポッ
クリ逝っちまうんだから。 病院内ではやめてくれ。 で、なん
だお前、逃げられるくらいな事をした訳だ」

 ギロリと一ノ瀬を睨み付ける。
 他の者はその一睨みで許しを請うだろうが、一ノ瀬は肩を
 竦めただけ。

「逃がすものか・・・・・・」

 低い唸り声。

「・・・・程々にな」

 そう言って一ノ瀬は恭夜に背を向けその場を後に。
 途中足を止め

「今のお前じゃ、また逃げられるぞ」

 と一言をの残して。 
 
逃がすものか・・・・・ 

 つい10分前まで手の中にあったものが無いだけで、言葉
 には表せない喪失感が恭夜の中を占めていた。

こんなにも、自分が欲しているのに・・・・

 噛み締めた唇からは血が流れていた。
 大人しく自分の手の中にいたと思っていただけに怒りは治
 まらない。
 近くにあったベンチを思い切り蹴り上げる。
 ベンチは勢いよく、近くの木にぶつかり壊れた。
 必ず探し出し、今度こそ逃げられない様に。
 そして、確実に自分の物にすると。

待っていろ・・・・・・





 



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