(おまけ)
2万Hits企画






「全く信じられないよね。 だっていきなり『俺の物だ』とか言ってキスだもん。
その後僕が一所懸命無視しても全然堪えないし、毎朝迎えに来るし、直ぐキ
スして来るし、休みの日には勝手に予定入れて家に来るし・・・・。」

「で、有樹は流されて葛城とつき合う様になったんだ?」

 珊瑚が呆れた口調で言う。
 放課後、綾瀬の家で4人が集まり有樹達の始まりを聞いていた。
 何が切っ掛けだったのかは分からないが、いつの間にかそんな話しになっ
 ていたのだ。

「違うよ・・・・別に流されてなんかいないよ・・・・・」

「じゃあ惚気?」

「べ、別にそんな訳でも・・・・・ただ、彰学校では他の人とはあんまりしゃべらな
くっても僕とは話してくれるし、優しいし・・・・・・。 一生離さないとか言って・・・そ
んな先の事なんてね・・・・・・・」

 顔を赤らめながらボソボソと。
 
「・・・有樹・・・・それのどこが惚気じゃないのか俺には分からないだが・・・・・」

 綾瀬も呆れていた。

「そうかな?」

「「そうだ」」

 綾瀬と珊瑚二人に言われてしまった。
 ただ一人若菜だけは違ったらしい。

「え〜、普通だと思うけど」

「若菜は黙って」

「どうして? 悠二さんは優しいし綾瀬しか見てないし、格好いいって思うでし
ょ? この後だって来るんでしょ? さっきメール見て嬉しそうにしてたじゃな
い。 それに僕が悠二さんと話してると焼き餅焼いてるくせに。 珊瑚だっ
て、竜也君からしょっちゅう携帯に連絡入って来て出ると口では何だかんだ言
いながら、嬉しそうな顔してるじゃない? それって普通で惚気じゃないんじゃ
ないの?」

 言っている事は何だか違うが、そんな自分を見られていたとは。
 ハッキリいって恥ずかしい。

「それに、僕だって。 貴章さんは格好いいし、スタイルもいいし、優しいし、料
理もとっても上手で、センスも良いと思ってるよ。 忙しいけども必ず連絡してく
れて、ほんの少しの時間でも逢ってくれるし。 凄く嬉しいよ、これって普通でし
ょ」

『『お前だけだ!!』』

 よくもまあ恥ずかしげもなく言えるもんだと感心する。
 確かに綾瀬の兄貴章は誰が見ても特別だと思うが。

「もういい・・・・・俺は疲れたから帰る」

 これ以上若菜にからかわれるのは堪らないので、誤魔化す様に言って珊瑚
 が立ち上がる。
 当の若菜はからかっている気など全く無いのだが。

「あ、そろそろ竜也君が迎えに来るの? いいな〜、一緒に住んでて」

「!!」

 3人に背中を向けドアを出て行こうとした珊瑚の足が止まる。
 
「あれ、どうしたの?」

 恐る恐る珊瑚が振り返る。
 心なし顔が青い。

「・・・・・若菜・・・・何故それを・・・・・・」

「え? 貴章さんが教えてくれたんだけど。 水くさいな、もうっ」

 綾瀬と有樹の視線が痛い。 
 綾瀬はニヤリと人の悪そうな笑みを。
 有樹は驚いていた。

「ほう、同棲か・・・・・お祝いをしないといけないな。 何がいい、お揃いのパジ
ャマか? 夫婦茶碗か?」

「あ、それいいかもね。 いつ買いに行こうか? 綾瀬も若菜も都合大丈夫?」

「俺は何時でも」

「僕も!」

 顔を引きつらせ、何時の間にか握られた両手はブルブルと震えていた。
 そして若菜を睨み付け「覚えてろよ!」と捨て台詞を残し、ドアを乱暴に開け
 出て行った。
 余りの剣幕に、若菜はキョトンと。

「ねえ、僕何か変な事言った?」

「いや、言ってないだろ」

 シレッとした顔の綾瀬。
 有樹はニコニコと笑っていた。

「なあ、若菜。 何で兄さんは知っているんだ?」

「珊瑚の彼と、顔見知りらしいよ」

「へ〜」

 兄の知り合いと言うからには、それなりの人物なのだろう。
 そう言えば名字を知らない。

「なあ、珊瑚の相手の名字は?」

「う〜〜ん、確か剣、剣竜也君」

「ほう、剣ね・・・・・」

 『珊瑚もなかなかやる、玉の輿だな』と綾瀬は思った。

「ねえ、何時にする? 今週末でもいい?」

 有樹はとても楽しそうだ。
 その時に、自分も何かお揃いの物を買おうと思っていたのだ。
 最初はともかく、今は大好きな彰とのお揃い。
 しかし珊瑚の言葉に、ちょっとムッとした有樹だった。
 
僕は流されてなんかいないぞ・・・・・









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